部屋の雰囲気をガラッと変える一番有効な方法は、部屋の大部分を専有する床と壁を変えること。
ということで今回は僕が賃貸部屋に足場板を敷いたときのことを書きたいと思う。
床材として足場板を選んだ過程はこちらから
上の記事にも書いたが、賃貸部屋の床を変える上での、第一条件は原状回復できること。
そしてどうしても本物の木を敷きたいということで選んだのがWOODPROの足場材T-5C(古材風)シリーズ 180型【T-5C-180-鉄サビなめらか】910×180×5mmだった。(2020/11現在の商品名は【1-5K-T】)
この商品は厚さが5mmしかないということで、ドア、クローゼットと床の隙間が僅かな物件でも敷ける。
敷く前の部屋の写真がこちら↓
写真を撮り忘れていたので資料写真の引用になるが、the・賃貸部屋である。
この部屋が8.7畳くらいで、それに玄関から廊下を合わせた約12畳に足場板を敷き詰めていく。
賃貸部屋に足場材を敷く作業工程
作業は大きく分けて3工程
①下地としてベニヤ板をフローリングの上に敷く
今回敷く足場板は厚さが5mmしかなく、天然の木なのでフローリングの上に直接置いても、当然すぐズレるし板が反ってきてしまう。 そこで足場板を固定するために、まずは床の上にベニヤ板を敷いていく。
②下地のベニヤ板に足場材を両面テープまたは床用ボンドで固定していく
足場材を1枚ずつ並べて貼っていく。 基本的には強力な両面テープを使うが、どうしても癖が強く両面テープだけでは盛り上がってしまうところは床用ボンドで貼っていく。
③足場材にオイルフィニッシュを塗る
この工程は床の色が気に入ればいらないのだが、僕はやっぱりもうちょっと茶色い感じがいいなあと思い、オイルフィニッシュで着色することにした。
1足場材の下地としてベニヤ板をフローリングの上に敷く
今回敷く足場板は5mmしかないため、直接フローリングの置いてもすぐズレるし、天然の木なので反ってくる。
だが賃貸なので直接フローリングに固定することはできないので、まずは足場板を固定するための下地を敷く。
家のフローリングとドアの隙間は9mmしかないので、下地も4mm以下でなければならない。
かつ下地なので反りが少なく、1枚あたりの面積が広い方がいい。
そこで今回下地として選んだ下地はラワンベニヤ板(厚さ2.5mmx巾920mmx長さ1830mm)
これを12枚…
ホームセンターで買って自分で運ぶのが一番安いと思うが面倒なので楽天で買って配達してもらった。
この下地はあまりに反ってない限り、とにかく安いもので構わないと思う。
ドでかいベニヤ板であっても敷けば多少浮いてくるところはあるが、足場板を上に置けば安定する。
送料込みで約10000円也。
これがドデンと届いた時、ようやく自分がこれからおっぱじめようとしているのが、セルフ拷問だと気づき始めたのだった。
足場材を敷く前の準備
実は引越し前に足場板は全て敷いてしまう予定だったのだが、家賃の重複が嫌でほぼ被りなしの日程を組んだら、引越し準備に手間取って全く床の作業などできなかった。
ということで作業は引越し後、ダンボール満載の部屋で行う羽目に。
床に板を敷き詰める。
とてもそんな状態ではない。
これからやろうと思っている方はこれだけは避けてほしいと切に思う。
僕はどうしたかというと、必要最低限のダンボールのみ開けて、それ以外は洗面所、クローゼットになるべく山積みにして封印。
家具や家電は部屋の片隅に追いやって作業を開始し、ある程度作業が終わった場所に再び家具、家電を移動させ、場所を空けるという超絶めんどくさい工程だった。
これを①下地、②足場板、③オイルステイン塗装の度に行ったので、本当にだるかったし、作業が終わる10〜14日程度はダンボールを開けれないという不便を味わった。
ベニヤを敷く前に更にフローリングの傷防止になにか敷いてもいいのかもしれないが、まあベニヤもそんなザラザラした素材でもないので気にせず敷くことにする。
でも掃除だけはしておいた方が良いと思う。
床にベニヤ板を並べていく
実際にベニヤ板を並べていく。
やることはいたって単純で約1800×900mmのベニヤ板を部屋の隅から並べていく。
つなぎ目は養生テープで止めていく。
養生テープは何でも良い。
むしろ固定さえできれば何テープでも良いと思う。
全然写真を撮ってなくて参考になりづらいがこんな感じ↑
部屋の大部分は1枚のベニヤ板をドンと置けばいいのだが、面倒なのは部屋の隅の余った部分と廊下など。
このあたりはカットしていかないと敷き詰められない。
ということでカット。
正直、当初は電動丸鋸を買おうと思っていた。
でも足場板を敷いてしまったら、家具などは、もはやほぼ作りきってしまった自分には嵩張る存在でしかなくなる。
「よし、やめよう、高いし」
と思い留まってしまった。
ドMなのだ。
今後も木で色々作ろうと思っている方は迷わず買った方が良いと思う。
まあ寸法が完全に決まっているものはホームセンターのカットサービス使うのが一番楽かもしれない。
ということで長年愛用のノコギリで部屋の形に合わせて、ひいひい泣きながら手作業でカット。
そして部屋、廊下の形に合わせて敷いていく
何と言っても一番邪魔だったのは冷蔵庫。
なんとか玄関に引きずって作業を進めていく。
このあたりで一回、「自分は何をしているんだろう」と我にかえることがあったが、気づかなかったことにして黙々と進めていく。
下地に関してはあくまで足場板を貼る土台なのであまり細かくやる必要はないのだが、変なこだわりが露出して細かくカットせずにはいられない病にかかる。
まあ足場板のカットの練習と思ってやってみるのもいいと思う。
クローゼットのあたりも細かく切る。
このあたりからダルくなってどんどん雑になるが、まあ下地だから良し。
ベニヤ板も完全に同じサイズではない。
誤差があるので微妙に隙間が生まれてくるが、その隙間を養生テープで埋めてしまうくらい大雑把で大丈夫。
2下地のベニヤ板に足場材を両面テープまたは床用ボンドで固定していく
いよいよ足場板を敷き詰めていく。
こんな感じで1枚910×180×5mmの板が20枚入ったセットが6セット届いた。
なかなかの重量である。
ここでまた我に返る第2ポイントを迎える。
「退去する時これどうするんだ?」
…
また気づかなかったことにして先に進めてみる。
足場板を敷きつめる前に考えておくこと
①足場板を敷き詰める方向
いざ敷き詰めようとして、ふと思うのは板を敷き詰める方向だろう。
この部屋は正方形に近く、部屋にのみ敷き詰めるならどちらでも良かったが(部屋が広く見えるのは、部屋の長い辺に沿わせて貼っていく方法)、今回は玄関からシームレスに敷き詰めていくので、必然的に部屋のドアに対し垂直になる方向だった。
なぜなら足場板、というかどの床板もなのだが、一列ごとに少しずつ板をずらして敷き詰めていく方が味わいがあるからだ。
ドアに対し平行な方向だと、狭い廊下などは長さが910mmもある足場板を刻みまくる羽目になる。
分かりづらいのでもう貼り終わった後の写真を。
要はこんな感じ。
②足場板の木目
僕は木の節が好きである。
木目の丸くなっているところだ。
だが足場板は天然の木なので、当然だが1枚1枚木目が違う。
そこで事前になるべく板の木目を見て、木目の1軍を選別しておくことをお勧めする。
引っ越す際ならば、家具の配置などもなんとなくは決めていると思うのだが、ベッドの下などほとんど見えないところにそういった自分が好きな木目がきてしまうのは勿体ない。
③足場材の幅を揃える
これは僕が実際にやっていて、もっと前から気を使えば良かったと思ったことなのだが、足場板は大きさが微妙に違う。
板の反り具合によっても違う。
板の長さは揃ってなくて全く構わないのだが、幅はなるべく敷き詰める列ごとに同じくらいのものを揃えるようにしたい。
そうじゃないと次の列に移った際、けっこう大きな溝ができてしまい下地のベニヤが見えたりする。
木目や板の反りに加え、幅まで考え出すときりがないが、なるべく考えておいたほうが良いと思った。
足場板を実際に敷き詰めていく
まずは部屋の隅から順番に並べていく。
端に達したら部屋の大きさに合わせ板をカットする。
そして次の列の先頭をその余った板にすることで列ごとにずらしていく。
足場板は両面テープで固定するのだが、いきなりやると失敗する可能性があるのでなるべく板を並べてシュミレーションしてから貼るのがいいと思う。
僕は途中から大体3列分くらいシュミレーションして、まあいいかと思ったら貼っていくという方法をとっていった。
両面テープはこんな感じで端までしっかり固定する。
そうじゃないと板が薄いため強い力で反ってきて盛り上がってしまう。
使用した両面テープはこちら
少し無駄遣いしたので余計に必要になったのだが、結局これを15巻も使った。
ゴミやインターネット設備などごちゃちゃしているが、作業途中の写真があまり無くてスミマセン。
とにかく足場板を敷き詰めては、ノコギリで部屋に合わせて板を切り、両面テープで貼っていくを繰り返す。
今度は下地と違って部屋の隅やドアの側などの複雑な形状もなるべくきれいに、部屋の形状通りに切っていく。
定規、曲尺を駆使して、アナログにがんばる。
下の写真はドアのあたりなのだが、写真中心部のちょっとぼこぼこした形状の壁を囲むように、1枚の足場板の中心部をくり抜きコの字型になるように切っている。
ちなみに写真がなかったので、これは施工から約1年後の現在の写真である。
特にコツなんてものはなく、壁の寸法を測り、地道に切っていくしかないと思う。
この作業を1人で黙々とやったのだが、本当に気が遠くなった。
特に手ノコで板を切る作業は、握力は失くなるし、希望も若さも失っていく感覚を覚え、故郷の母を想ったりした。
家の訪問者全員を驚かせたくて頑なに1人でやったが、なるべく誰かに手伝ってもらうか、電動丸鋸などを使うことを強くオススメする。
ちなみに5mm厚の板は強力なカッターでも切れると書いてあるサイトがけっこうある。
僕もラッキーとばかりに意気揚々とドデカイカッターを購入し、最初はやってみた。
……
たしかに切れなくはない。
だがアホみたいに何度も何度も同じところのなぞり、パキッとやるのはどうも男らしくない。
というかひどく効率が悪いし、すぐカッターが刃こぼれする。
個人的にはやめといた方がいいと思う。
貼っていくうちに本当に癖が強い暴れん坊はすぐ盛り上がってくる。
そういうときは何回両面テープで補強しても効果は一時的なことが多い。
そこで奥の手、床用ボンドを使用する。
最初から使ってもいいのだが、退去のことを考えるとこんな強力なものは面倒なので、極力使用しないようにした。
そうして何日かかったかは覚えていないが、ついに貼り終える。
仕上がりはこんな感じ。
3足場材にオイルフィニッシュを塗る
仕上がり自体は別に悪くない。
汚らしい鉄さび塗装のおかげで倉庫感はある。
少なくとも雰囲気はガラッと変わった。
だが、表面がボコボコじゃないことを差し引いても何か物足りない気がする。
やはりサンプルの破片と、いざ一面敷いてみた印象は違うものだ。
もっと茶色っぽい方がイメージに近いと判断し、近年よく使用しているワトコオイルを塗ることにした。
これはオイルフィニッシュと呼ばれるもので、オイルを木の内部に徐々に染み込ませ、着色しつつ保護するというもの。
あくまで木の内部にオイルを染み込ませるものなので、ニスのように表面に塗膜を作ったり、ワックスのようにテカリなどが出ないのが特徴。
木目や木の質感を生かしたまま着色が出来る。
きれいに仕上げれば、そのままより更に木目が立ち上がってくる。
上手くやればね。
木材の着色兼仕上げ剤として、ワトコオイルと人気を二分する商品にブライワックスというのがあるが、僕はツヤ、テカリがとにかく嫌いなのでワトコオイルにした。
また足場板にブライワックスを塗ると、ちょっと滑りやすくなるらしい。
サンプルを注文する
いざワトコオイルを塗るといっても、ワトコオイルは色が豊富で何色にするか迷ってしまう。
床一面なのでギャンブルするのは怖いということで、サンプルを請求することにした。
2色までなら無料らしいのだが、もっと試したいので有償の5色セット(1000円+送料)を注文。
サンプルなのになんかかっこいい。
余った足場板に着色してみる。
もう1年前なのでどれがどれだか自分でもあやふやだが、たしか左から
ナチュラル、エボニー、チェリー、ミディアムウォルナット、ダークウォルナット
ナチュラルの程よく色づく感じや、エボニーの強い色づきも良かったが、無難にダークウォルナットにすることにした。
自分でもあまりに無難な選択で、サンプル請求した意味があったのか謎だ。
まあいいやということで、とりあえずダークウォルナット1リットル缶を購入。
足場板の素地調整
ワトコオイルに限らず、塗装するときは表面をヤスリがけなど研磨をするのが基本。
表面から余計なものを取り払い、塗料を定着させやすくする処理だ。
ワトコオイルは塗膜を作らないのでそのままこの素地調整が仕上がりに影響する。
とは言ってもだ。
ここまでで既に魂を消費しきっていた僕に、この広面積をヤスリがけする気力など残されていなかった…
サンドペーパー#240でサッとなぞるように、ヤスリがけしてみる。
もはや、一応やったという自分への確認作業のようだ。
弱い自分を見ないようにして次の作業へ。
マスキング
一応部屋の壁の最下部数センチをオイルが付着しないようにマスキングする。
雑にやる。
塗る、とにかく塗る
もう見出し通り、とにかく塗っていく。
あまりにたっぷり塗っても染み込みきらないので、適度に塗っていく。
というか面積あるのでケチらないとやってられない。
塗りたてはとにかく色が濃い。
そして染み込みきれないオイルが表面に出てくるので、テカテカしている。
30分もすると染み込みきれなかったオイルが浮いてくるので、不要な布などで拭き取る。
本当はそのまま少し乾燥させた後もう一度薄く塗り、濡れた状態のまま研磨すると、木目が浮き出てとてもきれいに仕上がるのだが、そんなに塗料も気力もないし、家具のようにきれいである必要性もないので、今回はここまで。
部屋に家具はあるわ、全て一気に塗ろうにも自分の居場所なくなるし、避難しようとするとオイル浮いてくるわで、これもなかなか苦労した。
足場を確保しながら、塗っては乾燥させ、オイルを拭き取るを繰り返す。
半分塗ったところ。
奥に、抜くと面倒なケーブルテレビ、ネットのコードが見えるが、こういうのも位置をずらしながら頑張る。
オイルをしっかり拭き取らないといつまでも足が茶色くなるので注意が必要だ。
といっても拭いても拭いても、一週間くらいは浮き出てくる感じがあるので、安いスリッパなどを履いて過ごすのが良いと思われる。
結局1リットル缶を3缶も使ってしまった…
ワトコオイルを塗る上での注意点
匂い
そういえばワトコオイルを塗るときの命に関わる注意点を。
オイルなのでけっこうケミカルな香りがする。
換気しないでやっていると結構な確率で頭痛くなってくるはずなので、換気はこまめに。
こんなに床一面に塗ったら匂いがしばらく残ってやばいと聞いていて、構えていたのだが、塗っている本人は慣れてしまうのかほぼ不快感を覚えず。
2、3日もしたら感じなくなっていて「なんだ、噂は所詮噂だな」と思っていた。
そんなある日仕事をしていると、同僚から言われた。
「変な匂いがする」
ショックだった。
体臭じゃないと、そう思いたい。
まあ結局ほんとにワトコオイルの匂いだったみたいだが、自分でも気づかないうちに服などの布に染み付いている可能性があるので注意が必要だ。
オイルを拭き取ったウェス
ワトコオイルを拭き取った布を放置すると、自然発火する可能性があるらしい。
ほんとに恐ろしい話だが、実際に事故も発生しているらしいので、これは本当に注意したほうが良い。
使った布は水につけるなどして、乾燥しないようにして廃棄する。
完成
乾燥させ、オイルが浮き出てこなくなったら完成。
本当に長かった…
二度と1人ではやるまいと心に誓うのであった。
と苦労も多いが、まあ悪くない仕上がりになったと思う。
……。
そう思わないとやってられないので、そう思うことにする。
上の写真は完成直後だが、どんどん経年変化をしていくようなのでエイジングを楽しみたい。
最後にその後の部屋の写真を。
これは壁紙を貼り、プロジェクターを設置した直後なので、床を敷いてから一ヶ月後くらい。
ちょっと生活臭が漂っているがこれしかないのでご了承を。
そしてこれが現在の部屋。
ソファが増えただけだが、1年だと床もまだ大した変化はないように思える。
まあ光の当たり方や、時間帯が少しでも違うと、全く違う色に見えるので何とも評価しがたいのだが。
また意外と丈夫で傷もなかなか付かない。
ということで賃貸だが、床に関しては傷や汚れを気にせず生活できる。
本当はもっと生活に支障がない程度でボコボコにしたいところなのだが…
また新材を選んだので素足で生活してても一度も、トゲが刺さったこともない。
施工自体はとにかく苦労したが、確実に部屋の雰囲気はガラッと変わるのでチャレンジしてみる甲斐はあると思う。
終