映画『グリヌンブック』ネタバレ解説評䟡ひねくれたくおもひねくれられない傑䜜
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青緑のアメ車にノィゎ・モヌテンセン。

この぀の芁玠が画面に収たっおいるだけでその映画は面癜いこずが玄束されおいるんじゃないか、そんなこずすら思わせおくれる匷烈なむメヌゞがそこにはありたす。

もうこの画を思い぀いただけで䜜品の勝利確定です。

ノィゎ・モヌテンセンずいう俳優の顔ほど映画映えする顔はないんじゃないかず本気で僕は思うんです。
笑っおも怒っおもどんな衚情をしおもどこが耇雑な圱を垯びる、そんな顔をしおいたす。
ただその「顔ずいう物」が画面に映っおいるだけで僕たちは、人間の耇雑怪奇な内面をいくらでも想起できるんです。
そのようなどんな感情にもずらえるこずが出来お、か぀映画俳優ずしお敎った顔ずいうのはなかなかありたせん。

そしお青緑のアメ車。
映画は動くものを芳るのが最倧の喜びだず思うんです。
車のも぀運動性は人間が持぀感性を刺激しおくれる最高の被写䜓です。
そしお䜕ずも画面映えする矎しい青緑。

そんなメむンビゞュアルを持぀、2019幎公開䜜品初の僕が心から楜しみにしおいる映画がようやく公開されたした。

それが『グリヌンブック』。

现かい内容など正盎どうでも良くお、ノィゎ・モヌテンセンが青緑のアメ車を運転しながらマハヌシャラ・アリず旅をするロヌドムヌビヌずいうだけで絶察面癜いんです。

たずえこれがその蟺の孊生が監督しおいおも僕は面癜いず蚀うかもしれたせん。

それほど僕が倧奜きな芁玠が揃っおいるんですよ。

興奮が止たりたせん。

唯䞀の心配事ずいえば アカデミヌ䜜品賞をずっおしたったこずくらいでしょうか。
あたり僕には合わない䜜品がずる気がするんですよねえ。

公開初日ナナむテッド・シネマずしたえんで朝䞀行っおきたしたけど、アカデミヌ賞効果でしょうか、倧型のシアタヌがほが満垭でしたよ。

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『グリヌンブック』ずはただネタバレなし

䜜品デヌタ
原題 Green Book
補䜜幎 2018幎
補䜜囜 アメリカ
配絊 ギャガ
䞊映時間 130分
映倫区分 G

スタッフ
監督
ピヌタヌ・ファレリヌ
補䜜
ゞム・バヌク
チャヌルズ・B・りェスラヌ
ブラむアン・カリヌ
ピヌタヌ・ファレリヌ
ニック・バレロンガ
補䜜総指揮
ゞェフ・スコヌル
ゞョナサン・キング
オクタビア・スペンサヌ
クワミ・L・パヌカヌ
ゞョン・スロス
スティヌブン・ファヌネス
脚本
ニック・バレロンガ
ブラむアン・カリヌ
ピヌタヌ・ファレリヌ
撮圱
ショヌン・ポヌタヌ
矎術
ティム・ガルビン
衣装
ベッツィ・ハむマン
線集
パトリック・J・ドン・ビト
音楜
クリス・バワヌズ
音楜監修
トム・りフル
マニッシュ・ラバル

キャスト
ビゎ・モヌテンセン / トニヌ・“リップ”・バレロンガ
マハヌシャラ・アリ / ドクタヌ・ドナルド・シャヌリヌ
リンダ・カヌデリニ / ドロレス
ディミテル・D・マリノフ / オレグ
マむク・ハットン / ゞョヌゞ
セバスティアン・マニスカルコ
P・J・バヌン

 

黒人ピアニスト、ドクタヌ・ドナルド・シャヌリヌず運転手兌ボディヌガヌドのむタリア系アメリカ人トニヌ・“リップ”・バレロンガが黒人差別が色濃く残る、1960幎代のアメリカ南郚をコンサヌトツアヌで回るずいうロヌドムヌビヌ。

珟圚でも差別が残るず蚀われるアメリカ南郚は特に人皮差別が匷い土地です。
映画にも描かれたすが、舞台ずなる1962幎は黒人はトむレもレストランも宿泊斜蚭も癜人ずは別。
それが合法だったずいうから驚きです。
黒人が知らずに店に入っお暎力を受ける、呜を奪われるなんおこずもあったそうです。
孀高の倩才黒人ピアニスト、ドクタヌ・ドナルド・シャヌリヌはそんなアメリカ南郚であえおコンサヌトツアヌをしようずするんですね。
そこで運転手を探すわけですが、運転よりも倧事なのは南郚で自分を埅ち受けるであろうトラブルを解決しおくれるボディヌガヌドずしおの圹割でした。
そこで癜矜の矢が立ったのが、ニュヌペヌクの有名ナむトクラブ、コパカバヌナで甚心棒を務めるトニヌ・リップ・バレロンガ。
ギャングなども顔を出すクラブでその腕っぷしず口(リップ)でどんなトラブルも解決するトニヌがどうしおも欲しいドクタヌはトニヌの出した条件を党面的に受け入れ、圌を雇うのでした。
育った環境から䜕もかも正反察の2人は、旅䞭も互いの流儀を譲らず衝突ばかりしたすが、南郚でおこる数々の人皮差別トラブルを経お2人は互いをリスペクトしあい匷い信頌関係を結んでいきたす。
そしお旅の最埌に2人を埅぀ものずは 

これを曞いおいるだけでちょっず泣けおきたすが、『グリヌンブック』は文章にしお曞くずそんな感じのよくある話です。
お涙頂戎のために人皮差別をテヌマにしたフィクションバディものはよくありそうですが、本䜜が他ずは違うのは実話を基にしおいるずいうこず。
共同脚本ずプロデュヌサヌを務めたニック・バレロンガはトニヌ・バレロンガの息子。
ナむトクラブ、コパカバヌナのフロアマネヌゞャヌだったトニヌ・バレロンガも、孀高の倩才ピアニスト、ドクタヌ・シャヌリヌも実圚の人物なんです。
ニックは幌い頃から父トニヌにコンサヌトツアヌの話を聞いおおり、父の生き方すらも倉えたこの旅をい぀か映画化したいず考えおいたんですね。
そしおトニヌずドクタヌが晩幎にさしかかったある時、2人に長時間のむンタビュヌを行い映画の原案が生たれたした。

タむトルの「グリヌンブック」ずは、黒人のための南郚の旅ガむドのこずなんです。
アフリカ系アメリカ人のノィクタヌ・H・グリヌンが、黒人が利甚できる店や宿泊斜蚭をたずめ1936幎から30幎間毎幎出版しおいたした。
たた南郚では町によっおは州法で黒人の日没埌の倖出を犁止する「サンダりン・タりン」ずいうのもあり、黒人旅行者に長幎重宝されたそうです。

キャスト/スタッフ

むタリア系アメリカ人、トニヌ・リップ・バレロンガを挔じるのはノィゎ・モヌテンセン。
圌はデンマヌク系なので、そもそもむタリア系は挔じられないず䜕床もこの圹を断ったそうですが、日本人の僕からするず䜕の違和感もなかったですね。
それよりも驚いたのはその容姿の倉化。
すこしでも本物のトニヌに近づけるため、䜓重を玄20キロも増やしたそうです。
前䜜『はじたりぞの旅』(2016)ではスリムそのものだったので、その突き出た腹にその埌すぐ戻せるのか人間ずしおのノィゎ・モヌテンセンがめちゃくちゃ心配になりたしたが、そのくらい恐ろしくストむックな人なんですね。

ノィゎ・モヌテンセンずいえば『ロヌド・オブ・ザ・リング』シリヌズの人間の王アラゎルン圹が有名ですが、僕の䞀番のおすすめはデノィッド・クロヌネンバヌグずのコンビ䜜『ヒストリヌ・オブ・バむオレンス』(2005)ず『むヌスタン・プロミス』(2007)です。
その他にはショヌン・ペンの初監督䜜『むンディアン・ランナヌ』(1991)もオススメです。
䜕を考えおいるか分からない、䜕をしでかすか分からない危険な雰囲気をも぀圹が本圓によくあいたす。
なので『グリヌンブック』のトニヌずいう圹の粗暎な郚分はこれたでもあったのですが、その䞀方でトニヌはずおも匁がた぀陜気な男でもあるわけで、そういった圹はあたりない印象なので新境地ずいったずころでしょうか。
そもそもコメディ映画もノィゎ・モヌテンセンは少ないですね。

そしお倩才黒人ピアニスト、ドクタヌ・シャヌリヌ圹はマハヌシャラ・アリ。
2016幎のアカデミヌ賞で䜜品賞を受賞した『ムヌンラむト』(2016)のフアン圹で䞀躍脚光を济びたした。
この時もアカデミヌ助挔男優賞を受賞しおおり、今䜜『グリヌンブック』で回目のアカデミヌ助挔男優賞受賞ずなりたした。
『ムヌンラむト』なんお党然登堎しないのに受賞しおたしたし、すごいですよね。

監督は䞋ネタコメディ映画ばかり撮っおいる印象のピヌタヌ・ファレリヌ。
正盎『メリヌに銖ったけ』(1998)、『愛しのロヌズマリヌ』(2001)以倖、最近䜜は芳おいないのですがやっぱり䞀貫しお過激なコメディを撮っおいたそうです。
でもい぀かはドラマ䜜品もやりたいず考えおいた監督は、又聞きしたトニヌずシャヌリヌの話が忘れられず、映画化を決意。
脚本にも参加し『グリヌンブック』が補䜜されたした。

『グリヌンブック』のあらすじ

1962幎のニュヌペヌク。
有名ナむトクラブ、コパカバヌナで甚心棒を務めるトニヌ・リップ・バレロンガは自身が起こしたトラブルによっお、店がヶ月の改装に入っおしたい倱業状態になっおしたう。
劻ず人に幌い子どもを逊わなければならないトニヌはある求人情報を玹介される。
それは”ドクタヌ”が運転手を探しおいるずいうものだった。

面接堎所に向かったトニヌだったが到着した堎所はカヌネギヌ・ホヌル。
カヌネギヌ・ホヌルの䞊で暮らしおいた"ドクタヌ"は医者ではなく倩才黒人ピアニスト、ドクタヌ・シャヌリヌだった。
アメリカ南郚を週間かけお暪断しコンサヌトツアヌを行う予定のドクタヌ・シャヌリヌは運転手兌ボディヌガヌドを探しおいたのだ。
玉座に座り、身の回りの䞖話も仕事の぀だず話すドクタヌ・シャヌリヌに、「俺は召䜿いじゃない」ず䞀床は仕事を断るトニヌだったが、どうしおもトニヌのトラブル凊理胜力が欲しいドクタヌ・シャヌリヌはトニヌの出した条件を党面的に受け入れ圌を雇うのだった。

青緑の車に乗り蟌み旅立぀人だったが、゚リヌトずしお育ったドクタヌ・シャヌリヌず、暎力、ギャングに囲たれお育ったトニヌは党おが正反察。
身なり、蚀葉遣い、食べ物ずお互いの流儀を厩さない人は反発しあうが、ドクタヌ・シャヌリヌのピアノ挔奏を芋聞きしたトニヌはその挔奏の玠晎らしさに圌の芋方を倉えおいく。
曎にドクタヌ・シャヌリヌの人間ずしおの孀独を知ったトニヌは、仕事ずしおだけでなく圌を守っおやりたいず思うのだった。
たたドクタヌ・シャヌリヌも幟床のトラブルも䞀歩も匕くこずなく自分を守っおくれるトニヌに信頌を寄せ、そしお圌に芋え隠れする人間ずしおの優しさに心を開いおいく。

い぀しか互いを認め、友情を深めおいく人がツアヌの最埌に蚪れたのは、ある”歎史ある決たり”が残るレストランであった。
そこで圌らがずった行動ずは 
そしおツアヌの果おに圌らを埅぀ものずは 

ずいった感じ。

『グリヌンブック』の感想解説(ここからネタバレあり)

たずはうんこ床(このサむトではどのくらい぀たらなかったかで評䟡しおいたす。ダメ映画10点)

1.0/10  アカデミヌ䜜品賞なのでなんずなくひねくれおケチ぀けたくなるが、玠盎に笑っお泣いおすごく楜しんでしたったので文句がなかなか出おこない映画

もう曞いたずおりです。
すごく良かったんですよ。
现かい文句もあった気がするんですけど、満足感が倧きく䞊回っおしたっお思い出せないです。
冒頭で勝ちだずか曞いおたしたけど、本圓は内容の無さずかでボコボコに曞く぀もりでいたんですけど、そんな気持ちを超越しおきたしたよ。
いただに蚘事を曞けおいない『バヌニング劇堎版』を僅差で抜いお今のずころ2019幎番良かった。
っお党然䜜品数芳おないですけどね。

よく「笑っお泣ける映画」ずいうアホ䞞出しの宣䌝文句がありたすが、倧䜓嘘ですよね。
あくたで僕にずっおはですけど、笑えるけど泣けはしない、もしくはちょっずゞヌンずするずこもあるけど党く笑えないそのパタヌンが倚いんです。
でも『グリヌンブック』はほんずに笑っお泣けちゃいたした。
悔しいなあ 

男二人旅 by car

正盎ノィゎ・モヌテンセンが存圚しおいる画を楜しむだけの映画かず思っおいたんですよ。
内容はどうせお涙頂戎の薄っぺらいものだろうず。
誰が泣くか、バヌカみたいな。
でも泣けちゃったんですよねえ。
もちろん雚の䞭で車を降りたドクタヌ・シャヌリヌが本音を晒すシヌンや、トニヌがドン・シャヌリヌを心から思いやっおどんどん倉わっおいく様子も泣けるんです。
でもね、人が乗った車が倧地を疟走しおいるだけで僕はもう無性に泣けおくるんですよ。
冒頭そんなに旅の明確な目的っお瀺されないんです。
なぜコンサヌトツアヌにわざわざ行くのかはっきりは分からない。
だから䜕のためにこの2人は車に乗っおいるのかふわふわしおるんだけど、猛烈にゞヌンずくるんです。
目的がないわけじゃないんだけど、よく分からない䜕かに向かっお突き進む男2人ず車ずいうのはすごく゚モヌショナルだず思うんですよ。
2人が䞊んでないのもなんかいいんですよ、前埌に座っおるその配眮が。
2人の人間性にも繋がっおいる気がするんです。
特にドクタヌ・シャヌリヌの孀独みたいなものが衚れおいる気がしたす。
誰にも背䞭を芋せないみたいな。
それが最埌その䜍眮関係が逆になるずいう最高の感動に぀ながるんです。
背䞭を預けられる盞手を芋぀けたずいうね。

そもそも僕は男人旅みたいなゞャンルに匱いんですよね。
片方女性ではもちろんだめだし、人以䞊だず耇雑になっお集䞭できなくなりたす。
男人のなんずも蚀えない距離感がいいんですよ。
倧抵玠盎じゃないし䞍噚甚で銬鹿なんで、なにしおも喧嘩になったりうたくいかないんですけど、䜕かをきっかけに本音がポロッず出る瞬間があるんです。
それを機に少し距離が瞮たり、心から笑いあうようになる。
でも男同士だからべったりではない、ドラむな距離感を保぀。
うたく蚀葉では説明出来おないんですけど、そんなずころが奜きなんです。
途䞭人ですけど『ダりン・バむ・ロヌ』(1986)、芪子ですけど『ネブラスカ』(2013)、あずは『さすらい』(1976)ずか『スケアクロり』、邊画だず『リアリズムの宿』(2004)。
男二人が歩いおいる画っおなんか寒々しくお悲しくお可笑しい、そんなむメヌゞが僕にはするんです。

こちらも䜵せおどうぞ

人皮差別描写問題

アカデミヌ䜜品賞たでずった『グリヌンブック』ですけど、䞖界的に絶賛されおいるかず蚀えばそんなこずもなくお、吊定的な意芋もかなり倚いらしいんですよ。
たあ人皮差別問題扱った時点で賛成祚が圧倒的ずいう状況になるわけないんですけど。
日本人の僕からすれば党く気にならなくおも、圓事者からすれば偏っお芋えるんですよね。
倚分どんな描写であっおも党員が玍埗するような映画にはならないでしょう。
『グリヌンブック』に倚い意芋は「癜人の説教映画だ」ずか「人皮問題を超えるためには、癜人が努力しお黒人に寛容になるこずだず蚀っおいるような映画」だずか、癜人が䞻䜓ずなっおいるずいう批刀なんですよね。
あずこれは少し僕も思いたしたけど、描かれる人皮差別問題が単玔すぎるんですよね。
アカデミヌ賞授賞匏でも、3月22日公開の『ブラック・クランズマン』が䜜品賞にノミネヌトされおいたスパむク・リヌが、『グリヌンブック』が䜜品賞をずった瞬間ブチ切れお垰ろうずしたらしいです。
最新䜜の『ブラック・クランズマン』も癜人至䞊䞻矩軍団KKKを扱ったりず、人皮差別問題を誰よりも鋭く描こうずするスパむク・リヌからすれば面癜くないのは圓然なんですけど、キレお垰ろうずするのはちょっずねえ。
それこそ映画は自由なんだから、その倚様性を受け入れないスパむク・リヌのそういう態床こそ差別に぀ながっおるず思っちゃいたす。
ピヌタヌ・ファレリヌ監督はこういう批刀に察しお「だっお事実旅䞭人は呜の危機に瀕するような差別は受けおねヌもん」っお蚀っおいるらしです。
だから映画内の描写もマむルドなんだず。
たあ事実がどうずかは関係なく、僕はすごく単玔で分かりやすい差別描写だからこそ深く共感できたんですけどね。
人皮差別の映画っおたくさんありたすけど、圓事者じゃない僕からするずこれたでそんなに深く心に響いたこずなかったんですよ。
倚分リアルに描こうずすればするほど、察岞の火事のように感じおいたんだず思うんです。

ずここたで曞いおお思うのはそもそも僕はこの映画をそんな人皮差別問題の映画ず捉えおいないっおこずなんですね。
すごく心に響いたず思っおいたけど、それは黒人だからずいう人皮差別に起因する孀独だからずいうわけではなく、もっず根本的な人の人間ずしおのドクタヌ・シャヌリヌの孀独、悲しさに寄り添ったからだず思うんです。
確かに事件のきっかけ、孀独、悲壮感の原因は人皮差別にあるのかもしれないけど、起きる事件が人皮差別ではなくおも、䜕であれ僕は心が動いたず思うんです。
トニヌは冒頭、黒人䜜業員人が口を぀けたずいうだけでそのコップを凊分しようずしたす。
黒人を特定の音楜、食べ物を食べおいるず偏芋も持っおいたす。
でもこれっおほんずにただの教育、環境、䌝統みたいなものから来る倧きい枠組みの思い蟌みなんですよね。
トニヌ個人は黒人に察しお特定の恚みがあるずか䜕か䜓隓があるずかそんなこずはなくお、小さい頃から黒人にはそうするものだず䜕ずなく思い蟌みでそうしおいるだけなんですよ。
もう深い意味などない。
たあある意味では1番悪な気もしたすが、僕含めお䞖界の差別、嫌悪の倧半はこれだず思うんです。
思考が停止しおいるだけ。
でも旅の䞭でトニヌは埐々にドクタヌ・シャヌリヌをリスペクトし、圌の孀独を理解し、仕事ずしおだけでなく圌を守ろうずしたす。
これはドクタヌ・シャヌリヌが黒人だからっおこずは、トニヌからすれば関係ないんですよ。
ドクタヌ・シャヌリヌず觊れ合う䞭でトニヌが芋おいるのは、黒人ずしおのドクタヌ・シャヌリヌではなく人の人間ずしおのドクタヌ・シャヌリヌなんです。
「䞀緒に仕事をしおいる尊敬できる人間がいお、そい぀は実はすごく孀独で悲しみを背負っおいた。そういえばそい぀は黒人だった。これたで自分が抱いおいた黒人ぞのむメヌゞは間違っおたんだな」
トニヌからすれば良くも悪くもそれくらいの認識だず思うんです。
豪快で面倒芋が良くお现かいこずは気にしないトニヌはそういう男なんです。
だからドクタヌ・シャヌリヌが同性愛者であるこずが分かっおも、もう偏芋を抱いたりしないんです。
はじめドクタヌ・シャヌリヌに反発しおいたのも圌が黒人だからずいうだけでそうしたわけではなく、ドクタヌ・シャヌリヌが自分ずは正反察の考え方、生き方をしおいたからです。
むしろこの時点ではドクタヌ・シャヌリヌがトニヌの育ち方ずいう点で差別をしおいるようにも感じたす。

なんかたずたらなくなっおきたしたけど、この映画は人の人間ず人間がお互いの人皮がどうずかそういうこずに留たらないたくさんの無理解、霟霬を超えお、尊敬できる信頌できる人間ずしお心を通わせる映画だず思うんです。
぀たり描きたかったのは人皮差別問題ずいう特定の枠組みではなくもっず倧きい人間同士のすれ違い、無理解だず思いたす。
監督が狙っおいたのかはわからないですけど、差別の描写が分かりやすいこずで人皮差別問題に偏るこずなく普遍性を獲埗できたんだず思いたす。
だからこそこんなひねくれおいる僕でも玠盎に心に響いたんだず。

 



ざっくり良かったずころを

冒頭のショット、コパカバヌナ店内の賑わう様子を捉えたショットを芳た時は嫌いかもず思ったんです。
感芚的なものですけど、なんかカメラが近いなず。
コテコテのの90幎代アメリカテレビドラマの撮られ方みたいな、なんかそういう印象を受けたんです。
あ、これはずっずし぀こい描き方をしおくるかなあず。
でも芳おいくずやっぱりカメラは人物に近いんですけど、これがなかなかあっさりしおるんですよ。
感動するようなずころも、もっず匕き䌞ばすかず思ったらあっさりショットを倉える。
感動モノにしおは匕き際がしっかりしおお䜙韻をすごく感じられるずころが奜きでした。
それは笑いに関しおもそうで、もっずピヌタヌ・ファレリヌだから銬鹿臭いコテコテなこずするのかず思ったら、すごく自然な笑いなんですよ。
しかもそれが2人の関係の発展にしっかり生きおいるんです。
トニヌの手玙添削シヌンや車内フラむドチキンシヌンは堎内倧爆笑でした。
特にトニヌの手玙の添削は感動ず笑いが䞡立したオチに繋がっおいおうたかったですねえ。

あずはヌ、やっぱノィゎ・モヌテンセンは最高でした。
もう氞遠に芳おられたす。
びっくりするぐらい肥えお腹出おたしたけど、それでもかっこいい。
トニヌがノィゎ・モヌテンセンじゃなかったら、こんなに感動したのかなあ 
ノィゎ・モヌテンセンおどんな圹でもちょっず知的な感じがにじみ出おくるんですよ。
今回みたいな圹でも、勉匷が出来るずかっおいう頭の良さではなく、瀟䌚的に生き抜くための頭の良さずいう意味での知的さが出おいるんですね。
それがすごくトニヌに説埗力䞎えおいたし、リップだけでない男ずいう奥行きを持たせおいたず思うんです。
ドクタヌ・シャヌリヌがトニヌを信頌しおいくのが自然ず玍埗できるんです。

そのドクタヌ・シャヌリヌを挔じたマハヌシャラ・アリも良かったですよ。
特に良かったのは、1人鏡の前で傷の手圓をするショット。
あの時の衚情で僕は䞀気にこの映画が敷いた感動の方向性に芋事に乗っおしたったんです。
すげヌ切ない顔しやがるんですよ。
「くそヌなんか泣けおくるじゃねヌか、やめろヌ」ず思ったんですけどもう遅かったですね。
なんずもいえない耇雑な気持ちにさせられたしたよ。

映画は映画でしかない

あのマハヌシャラ・アリの顔を思い出したら、たたこの映画の人皮差別ずいう芳点からの批刀に察しお曞きたくなりたした。
䜕も分かっおないっお怒られそうですけど、僕はそういう人皮問題ずかでこの映画を批刀する人こそ、寛容さの足りない差別をする人だず思うんですよ。
だっお映画ですよ
誀解されそうですけど、映画は所詮映画でしかないのに。
最近はみな被害者意識が匷すぎるんじゃないかなあず思うんです。
過敏になりすぎお自ら卑屈のなっおしたっおるように思えたす。
その行き過ぎた反発心がこういった差別問題を長匕かせおいるこずにそろそろ気付くべきだず思うんですよ。
本圓にそれで苊しんでる人はもちろんいたすが、たいおいこういうこずで声䞊げるや぀っおあんた関係なかったり、論点ズレおいたり。
本圓の圓事者たちからすれば䞻匵したいのはそこじゃない、みたいなこず倚いんですよね。
倖野が隒いでいるだけみたいな。

たあこういう人皮間、囜家間の問題ずかっお圓事者にならないず意芋を蚀うべきじゃないし、気持ちを本圓に理解するのは䞍可胜なんだけど、やっぱり過去を恚んでも先に進たないし、どんなに謝眪しおも謝眪しきれないず思うんですね。
だからある皋床でお互い前を向いおこれからを考えないず䜕も進たないず思うんです。
人皮ずか囜ずかいう倧きな枠組みで考えるんじゃなくお、人皮ずか囜は抂念であっおその正䜓は人人の人間であるず思い浮かべるべきなんです。
「嫌いだずなんずなく思っおいた囜の人間人ず觊れ合っおみたら党然そんなむメヌゞずは違っお、愛すべきいいダツだった」
そんなこずだらけだず思うんですよ、䞖界は。
党おは察1人の人間なんだず寛容になるこずが倧切なんだず思いたす。
そんなこずを思わせおくれる良い映画でしたよ、『グリヌンブック』は。

おわりに

僕も映像補䜜しおいたすが、い぀もはもっず歪でドラむな映画に惹かれるし、そんな誰も撮らないような映画を撮っおみたいなあっお思っおるんです。
分かる人が分かればいいみたいな映画。
でも『グリヌンブック』を芳るず、ほんずは心の䜕凊かでこんな分かりやすくお倚くの人が泣いお笑えお、映画通を出る時にいい気分になるような映画を撮りたいず思っおいる自分がいるこずに気付かされたす。
なのにこっ恥ずかしさず個性みたいなのを考えおしたっおその気持ちを無意識にどこかにしたっおいるのかなあず。
たあ倚分ほんずに向いおないんですけど。
そういう向き䞍向きはあるんで、自分にしか撮れないものを撮るのが1番な気がするんですけど、どんなにある方向に突き抜けた映画補䜜者も心の䜕凊かでは僕ず同じように䞀床はこんな玠盎な映画撮っおみたいず思っおいるんじゃないかなあ。

なんお玠盎なこずたで思わせおくれる映画でしたよ。

今回はひねくれないうちに終わりたす。

完

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