映画『蜘蛛の巣を払う女』は前作を完全無視!ネタバレ評価、感想、解説!
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デヴィッド・フィンチャー(くらーい画が最高だよね)が監督し、ダニエル・クレイグ(金髪ジェームズ・ボンドかっこいいよね)、ルーニー・マーラ(冷たい感じがかわいいよね)が主演した傑作『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)から8年…

ついに、ついに待ちに待った続編が公開になりました!!!

パチパチパチパチ

が、しかし!!!!

監督も主演2人ともチェンジ!という最悪の展開…

“製作総指揮デヴィッド・フィンチャー”と宣伝されてます。

だからなんじゃ、もうほぼ無関係じゃねーか

 

監督・キャスト一新するなんて…

クソが…

頭わりーな…

と誰にぶつけていいか分からない怒りがこみ上げてきますが、まあしょうがない…
大人の事情があるのでしょう。

ということで期待5%不安90%切なさ5%で観てきました!
『蜘蛛の巣を払う女』!

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映画『蜘蛛の巣を払う女』とは??(まだネタバレなし)

作品データはこんな感じ

原題 The Girl in the Spider’s Web
製作年 2018年
製作国 イギリス・ドイツ・スウェーデン・カナダ・アメリカ合作
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 115分
映倫区分 PG12

スタッフ
監督
フェデ・アルバレス
製作
スコット・ルーディン
イーライ・ブッシュ
オーレ・ソンドベルイ
ソーレン・スタルモス
ベルナ・レビン
エイミー・パスカル
エリザベス・カンティロン
製作総指揮
アーノン・ミルチャン
ロバート・J・ドーマン
デビッド・フィンチャー
リーネ・ビンテル・スクイユム・フンク
ヨハンネス・イェンセン
アンニ・ファウルビー・フェルナンデス
キャラクター創造
スティーグ・ラーソン
原作
ダビド・ラーゲルクランツ
脚本
ジェイ・バス
フェデ・アルバレス
スティーブン・ナイト
撮影
ペドロ・ルケ
美術
イブ・スチュワート
衣装
カルロス・ロサリオ
編集
タチアナ・S・リーゲル
音楽
ロケ・バニョス

キャスト

クレア・フォイ / リスベット
スヴェリル・グドナソン / ミカエル
レイキース・スタンフィールド / ニーダム
シルビア・フークス / カミラ
スティーブン・マーチャント
クレス・バング

『蜘蛛の巣を払う女』のあらすじ

人里離れた城のような家で幼い双子の姉妹リスベットとカミラはチェスをしていた最中父親に呼ばれる。
やばい空気に危険を察知したリスベットはカミラを連れて逃げようとするが、辿り着いた窓からのあまりの高さにカミラはおとなしく父親の下にもどってしまう。
1人飛び降りたリスベットは雪のクッションで助かり、そのまま森に姿を消した。

16年後。
背中にドラゴンのタトゥーを入れ天才ハッカーとなっていたリスベットに科学者バルデルから仕事の依頼が入る。
それは彼が開発した世界各国の核兵器発射コードにアクセス可能なプログラム”ファイヤーフォール”をNSA(アメリカ国家安全保障局)から取り戻したいというもの。

ちょちょいと成功させたリスベットであったが、自宅を何者かに襲撃されパソコンごとプログラムを盗まれてしまう。
その頃リスベットがプログラムを盗んだと勘違いしたバルデルは、幼い息子を連れスウェーデン公安局に助けを求めていた。

プログラムが取られたことを知りスウェーデンに入国してきた”NSAのスペシャリスト”ニーダムとスウェーデン公安局から追われることになったリスベットは、プログラムを取り戻すべく3年間連絡を絶っていた(前作『ドラゴン・タトゥーの女』以来)ジャーナリストのミカエルに助けを求める。

プログラムを作動させるにはコードが必要なことを知っていたリスベットはセーフハウスにいるバルデル親子との接触を図ろうとするが、そこを再び襲撃してきた謎の男にバルデルの息子を奪われてしまう。

何とか助け出すことに成功したリスベットの前に現れたのは、リスベットの双子の妹カミラだった。

やがてカミラが幾重にも張り巡らした罠にかかってしまったリスベットは、自らの過去と対峙していくのだった…

みたいな感じ。
けっこう詳しく書いちゃいましたが全然核心には触れてません!

監督/キャストについて

冒頭に書いたように前作『ドラゴン・タトゥーの女』から監督・キャストが一新されちゃってます。
多分フィンチャーが監督だと完成に時間がかかりすぎるからなんでしょうね。
ため息つきたくなりますよ。

あと前作から時間経ちすぎたせいでしょう。
モタモタしてるからこういうことになるんだぞ!映画会社の偉い奴ら!

でもあんなに面白かった『ドラゴン・タトゥーの女』なのに実はそんなヒットと言える数字じゃなかったらしいんですよね。
だからなかなかGOサインでなかったんでしょうね。

で監督はデヴィッド・フィンチャーに代わって、前作『ドント・ブリーズ』(2016)で好評を得たフェデ・アルバレスがつとめています。
『ドント・ブリーズ』は演出も映像も良くて滅法怖いのですが、アイデア勝ちな一面もあったので今作で真価が問われますね。

主演のリスベット役はルーニー・マーラに代わってクレア・フォイ
誰じゃ?と言いたくなりますが、Netflixのテレビシリーズ『ザ・クラウン』で主演を務め有名になったらしいです。
待機作は『ラ・ラ・ランド』(2016)のデイミアン・チャゼル最新作『ファースト・マン』(2018)だそうです。
ブレイクしそうなニオイがするきれいな女優さんですね。
ま、ルーニー・マーラが良かったけど。

ミカエル役はダニエル・クレイグに代わってスヴェリル・グドナソン。
今度こそ本当に誰だ?です。
それもそのはず、スウェーデン本国を中心に活動してきた俳優みたいです。
今作を機にどんどん世界的な映画に出演していくかもしれません。

また今作の重要人物、リスベットの双子の妹カミラ役はシルヴィア・フークス。
『ブレードランナー 2049』(2017)で変な髪型の凶悪レプリカント、ラブ役をやっていましたね。
強烈でした。
でも髪型違いすぎて言われても分からないレベルです。
正直きれいとは思えない…個人的には。

『蜘蛛の巣を払う女』鑑賞前解説

『蜘蛛の巣を払う女』の時間軸は?

今作『蜘蛛の巣を払う女』はハリウッド版『ドラゴン・タトゥーの女』の続編となっています。
時間軸的には前作から3年後の物語。
でも実は今作『蜘蛛の巣を払う女』は原作小説『ミレニアム』シリーズでいうと2、3を飛ばした4の映画化なんです。(『ドラゴン・タトゥーの女』は1の映画化)

それはなぜか…
原作小説『ミレニアム』シリーズはスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンが書き始めたのですが、構想10部作もあったのに3を書いた時点で亡くなってしまってるんです。
それを受け継いでスティーグ・ラーソンの構想を元に、ダヴィド・ラーゲルクランツという人が続編を執筆しています。(公式にね)
なので4からは1〜3とは物語的にも違うテイストらしいんですよね(1〜3で3部作のように扱われることが多い。4は小説内時間も前3部作からすこし離れている)。
詳しくは読んでないから知らんけど。

そのため前作『ドラゴン・タトゥーの女』とは全然違うスタイルにしたかった監督フェデ・アルバレスは、4を映画化したらしいです。
普通に2、3もハリウッドリメイクで観たかったなあ。

あ、知らない方もいるかもしれませんが『ミレニアム』1〜3はスウェーデン本国で『ミレニアム』3部作として映画化されています。
それが大ヒットしたからハリウッド・リメイクで『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)が製作されたんですね。

前作『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)を観ていないと楽しめない?

前作『ドラゴン・タトゥーの女』を観てない人は当然観といた方が今作も楽しめると思いますが、たとえ観ていてもよく分からない設定もあるし、扱う事件自体も全く関係ないので、観ていなくても楽しめると思います。

でも知っておいた方が理解が早まる事もあるので以下にまとめておきます。

前作を観ない!という人もこれだけ知っておけば大丈夫

・リスベットは父親から虐待を受けていた。また『ドラゴン・タトゥーの女』で新しい後見人からも被害を受けており、そういった女性を傷つける男を激しく嫌悪している。
・前作ではジャーナリストであるミカエルが調査を依頼された事件を、天才ハッカーであるリスベットに手伝ってもらう展開。事件を通して生死に関わる危険を2人で乗り越えている。
・リスベットとミカエルは事件の調査を通して肉体関係に発展している。
・リスベットはミカエルを愛し始めるが、ミカエルは上司エリカとも関係を持っており、ミカエルが愛しているのはエリカだと思い自ら身を引いている。
・ミカエルはリスベットのおかげで、転落しかけたジャーナリストとしての地位を取り戻している。

『蜘蛛の巣を払う女』の見どころ

やはりなんと言っても
他に類を見ない奇抜なスタイルの主人公リスベットの天才ハッカーぶりとパワーアップした(しすぎた)アクションですね。

前作より大幅にアクションシーンが増えています。
…ちょっと増え過ぎかなあというくらい。
そのアクションも天才ハッカーならではの、他ではなかなか観れないものもありますのでお見逃しなく!

そして前作では謎に包まれていたリスベットの過去が明らかになり、リスベットは過去と否応なく対峙することになります。
果たしてリスベットは今も自らを苦しめる過去にどう決着を付けるのか、見逃せません!!!

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『蜘蛛の巣を払う女』の評価、感想、解説(途中ネタバレあり)

まずはうんこ度(このサイトではどのくらいつまらなかったかで評価しています)

5.0/10

つまらなくはなかったが、満足感はない!

それはなぜか見ていきましょう。

前作『ドラゴン・タトゥーの女』と比べてしまう

これは続編映画の宿命ですねー。
どうしても前作『ドラゴン・タトゥーの女』と比べてしまうんですよー。

頑張って、ほんと頑張って前作のことを考えないようにして振り返ってみると、サスペンスアクション映画としては充分楽しめる出来だったと思います。
テンポもいいし、上映時間もちょうどいいんです。

リスベットは小さい体で力自体はそんなに強くないのですが、ハッカーとしての技術と知恵、スタンガンなどの武器で大柄な男たちをなぎ倒していきます。
ファッションも相まって男の僕から見てもかっこいいし爽快ではあるんです。
だからこの映画単体でアクション映画として楽しみたい方には面白い映画かもしれません。

でもねー、やはり脳裏には前作『ドラゴン・タトゥーの女』がよぎり、どうしたって比べてしまいます。

なので今作はペラッペラな映画に思えてしまい、満足感は得られなかったんです…

前作『ドラゴン・タトゥーの女』の良かったところ

前作『ドラゴン・タトゥーの女』の何が良かったかと言うと

・主人公ミカエルが天才ハッカー、リスベットと協力して、40年前の少女失踪事件の真相を追うという謎解きミステリーが物語の本筋。
まずこの真相が知りたくなりどんどん映画に惹き込まれる。

・映画の3/4がいわゆる”普通”なミカエルを通して描かれていて、重要なところでミステリアスなリスベットが出てくる。
前半普通なミカエルの視点でリスベットを描くことによって、リスベットのキャラが立っている。
その2人が協力しあうバディ感がいい。
そして後半になるに連れてリスベットが主体となってくる。

・メインの謎解きミステリーに適度にアクションが挟み込まれ、いいアクセントとなっている。

・実は映画の軸として描かれているのは、男を信用出来ない、心に傷を負っている女性のラブストーリー。
事件を追うという過程を通してリスベットはミカエルに恋をし心を開いていくが、最後には再び心を閉ざしてしまう。

以上のように複数のジャンルが入り混じったような複雑な構成になっているんです。
一見1つのジャンル映画のような体をしているけど、その実全く違ったことを表現しているような映画に僕はすごく惹かれるんです。
多層的といいますか、何本にも枝分かれした感じ。

『蜘蛛の巣を払う女』の全体的な印象

でも今作『蜘蛛の巣を払う女』は違うんです。
一言で言うと天才女性ハッカーが大暴れする一本筋なサスペンスアクションです。

まず完全にリスベットが主体となってしまい、ミカエルはいるかいないか分かんないくらいです。
原作小説の『ミレニアム』第4作はミカエルも、もっと活躍するらしいんですよね。
というか原作は『ドラゴン・タトゥーの女』と同じようにミカエルは事件調査に乗り出し、リスベットに助けを求める展開なんです。
なので原作小説も前作『ドラゴン・タトゥーの女』もミカエルという別の視点があることで、リスベットの謎多きミステリアスな魅力が立ってきていたと思うんです。
でも今作は完全にリスベットを通した視点なので、ミステリアスな魅力が半減してしまったと思います。

フェデ・アルバレスが監督した前作『ドント・ブリーズ』もそうでしたが、辛い境遇の女性がマッチョ文化を倒すような物語が好きなんでしょうね。
でも今作はリスベットに肩入れしすぎたせいで、逆にその魅力を半減させてしまいましたね。

また誰が犯人かというような映画を引っ張る謎も得にはありません。
謎解きミステリーの代わりにアクションシーンが大幅に増え、というか僕にはただの世界的な陰謀を阻止するスパイアクション映画のように思えました。
まあ一応双子の妹カミラとのドラマがあるんですけど、なんか弱いなーて感じ。

監督フェデ・アルバレスは前作と全く違う自分のテイストにしたかったらしいので、こうなったのでしょうけど正直映画としての厚みみたいなのは感じないんですよ。

多分この作品にただの娯楽性、エンタメ性を期待して観る人って少ないと思うんですよねえ。
だってほぼ全員前作『ドラゴン・タトゥーの女』を観て、良かったと思ったから今作観るわけでしょ!
だったらあのテイスト期待しないわけないと思いますよ。
全く同じテイストでいったらもちろん作る意味ないでしょうけど、ある程度は前作のいいところを引き継いだ上で、新しいことをやるべきだと思うんです。
『蜘蛛の巣を払う女』はそれを全無視していると思いますね。

エゴ出しちゃったなー、フェデ・アルバレスて印象です。

キャストについて

リスベットを演じたクレア・フォイは運が悪いですねー。
前作をルーニー・マーラが演じてさえいなければ、比べられさえしなければ、悪くはなかったと思います。

ただ前作のルーニー・マーラが魅力的すぎました。
ルーニー・マーラてちょっと何考えているか分からない顔してるというか、全て見透かしているような眼をしています。
そのちょっと冷たい印象がリスベットにすごく合っていたと思うんです。
なのにあの髪型、ファッションでも可愛さが滲み出てくるという。

それと比べると分が悪いです。
普通に綺麗な人なんですよね、クレア・フォイって人は。
あまり影とか感じない健全な女優さんに見えるんですよ。
だからふとした時、ただコスプレした感じに見えてしまうことがありました。

これも前作が無ければ感じなかったかもしれません。

ミカエルはねー、今作は影薄すぎてほとんど何も思いませんでした。
敢えて言うとするとダニエル・クレイグに比べて優しすぎる印象でしたね。
優しすぎてつまらないって言われてフラレそうな男でした。

画の印象

これも前作『ドラゴンタトゥーの女』と比べてしまうところではあるんですが、画に重厚感が感じられなくて残念でした。

前作はスウェーデンの冬の寒々しい感じ(彩度が低い)が良く出ているんですが、それと同時に人の肌などには柔らかさというか血の通った温もりみたいなものが感じられ、そういうところが画の重厚感に繋がっていたと思うんです。

でも今作は寒々しいだけというか肌も血の気があまり感じられないんです。
普通にお金あるアクション映画の画って感じ。
だから安くさくはないんです。
その代り高級感も感じません。

それがこの悲しい切な物語にピッタリだと思って敢えてやっているのかもしれないんですけど、僕はあまり好きではありませんでした。

アクションについて(ネタバレあり

アクション映画としてはそこそこ楽しめる本作。
良かったのは、序盤で家を襲撃されて駆けつけた警察からリスベットがバイクで逃げるシーン。
追い詰められて海だか湖だか分からないんですけど飛び込むのかと思いきや、薄く凍った水面を颯爽と走り抜けるシーンは気持ちよかったです。

あとはセーフハウスからバルデル息子が誘拐され、リスベットが追いかけるカーチェイスシーン。
ハッカーならではの敵の車をハックして遠隔操作でエアバッグ膨らまして倒すというのは観たことなくて良かったです。
あのカーチェイスは全体通して、ハラハラする作りで面白かったんですけど、それ以外はねハイテクを駆使したリスベットたちがスマートで強すぎてあまり手に汗握らないんですよね。

その最たるものがクライマックスの、建物自体をスキャンして人間の位置を補足しスナイパーライフルで撃つというもの。
リスベット、ミカエルのピンチでしたし、一発目は「お、すごい!!」と爽快感あったんですけど、ちょっと無双すぎてイマイチでしたね。
それに活躍すんがあのよく分からない”NSAのスペシャリスト”ニーダムですから。
どうせなら最後くらいミカエルに何とかしてほしかったです。

ところでニーダムって何なんですかね?
NSAのスペシャリストってなんですか?
伝説的なハッカーだったみたいだし、プログラミング系のスペシャリストなのかと思ったら伝説的スナイパーじゃないですか、あれじゃあ。
あの距離から百発百中なんてあり得るのかなあ?
てかそもそもあいつなんであんな協力する気になったんだろ…
なんて疑問だらけの謎キャラでした。

印象に残ったショット(ネタバレあり

まず冒頭の子供の時のリスベットが飛び降りるショット。
そのままオープニングタイトルにつながるショットなんですが、俯瞰で画面真ん中に縦に道がある広い画なんです。
そしてクライマックス、リスベットに追い詰められ重症を負ったカミラが断崖から飛び降りるショットも全く同じ構図なんです。
こっちは落ちたところまでは映されませんが。

これって監督フェデ・アルバレスの前作『ドント・ブリーズ』の最初と最後のショットと同じ構図なんですよ。
『ドント・ブリーズ』はその最初と最後のショットが重なり何かを暗示しているように僕は思っているんです。
だってわざわざ冒頭とラストに全く同じ構図で人物を配置しているんですから、意味がないとは思えません。

ということでフェデ・アルバレスは最初と最後に同じ構図の画をもってきて重要なことを表現したり暗示する演出が好きなんだと思うんです。

今作では後ろ向きで飛び降りるという動きが共通するわけですが、これは苦しみからの解放を目指した動きです。
カミラが自ら飛び降りるのも、重症を負い追い詰められたから観念して飛び降りたという解釈も出来るとは思うんです。
でもその共通の構図、動きのことを考えると、やはりカミラも悪に手を染めながらも深層では必死に助けを求め解放されたがっていた、つまり心という面においてカミラとリスベットは実は繋がっていたという表現だと思いました。
セリフでもカミラはリスベットに「なぜ助けに来てくれなかった?」と訴えています。
この映画の数少ないエモーショナルで切ないやりきれないシーンでした。

あとはやはり、リスベットがミカエルに助けを求めに行くショット。
向かい合ったビルのエレベーターの中同士のコミュニケーションが美しくも何とも切ないんです。
物理的な距離がリスベットが考える自分とミカエルの心の距離を表している気がしてきます。

映画内で一番いいショットだったんじゃないですかね、個人的には。
これ以後は2人の絡みはほんとに雑に描かれてます。
雑というか普通。
こういう関係性を視覚的に表現することが出来るなら、最後にも2人の交流を視覚的に表現するようなショットがあれば良かったのに。
全然2人の関係性にはスポットライトが当たらずに終わりました。

あ、でもリスベットが背中のドラゴンタトゥー上に負った傷を、ミカエルに治療(普通で言えば拷問ですが…)してもらってるところは良かったですね。
リスベットの象徴であるドラゴンを治しているようにも見えました。

痛い描写について

また前作と比べるような話になってしまうんですが、グロテスクというか痛い描写がほとんどないことに不満を覚えました。

リスベットは過去の体験からくる精神的な症状から、大量のピアスやタトゥーを入れるという自傷行為につながったと思うんです。
僕の解釈ですけど。
だからこの映画では”痛み”というのは重要な要素だと思うんですよ。

前作『ドラゴン・タトゥーの女』はデヴィッド・フィンチャーの趣味もあると思うんですけど、痛いシーンがけっこうありました。
直接的でなくても痛みを想像させるようなシーンとか。

でも今作はアクションシーンはたくさんありますけど、痛いシーンてほとんどないんですよね。
安心して観れちゃうんです。
人によってはもちろん良いことですけど、僕は「うわぁ…」て思いながらそういう描写を観たいタイプなんですよ。

不満です!

あ、でもあのミカエルに”スパイダース”のことを教えてくれる男は良かったですねえ!
ほんとに気持ち悪かった。
CGなんでしょうけど、すごいよく出来てましたね!

タイトルの”蜘蛛の巣”の意味

これはカミラが父の跡を継ぎ作った組織「スパイダース」からきています。
カミラがリスベットに幾重にも張り巡らした罠のことを”蜘蛛の巣”と表現しているわけですが、そもそもなぜ「スパイダース」なんでしょうかね。

まず普通に考えれば、蜘蛛の巣をはって獲物を動けなくして捕食する様子からきていると思います。
まあこの映画の内容通りですよね。
よく蜘蛛女って言うしね。

あとはね、僕個人の勝手な考えを書くと、コガネグモから来ているんじゃないかと。
コガネグモは生物学上最も大切なアレの後にメスがオスを食べてしまうことがあります。
まあ勘違いによる事故みたいなもんらしいんですが。
そのメスがオスを捕食する様子を、男に負けない女の象徴として使ったんではないかと。

離ればなれに全く違う境遇で育った双子の姉妹だけど、生き方のポリシーみたいなのは共通してたんじゃないかなあ、なんて深読みしてみました。

おわりに

もうひたすら『ドラゴン・タトゥーの女』と比べてしまいました。

我ながらしつこかったですね。

でも『ドラゴン・タトゥーの女』が好きだった人が、この映画のメインターゲットになると思うんですよ。

そう考えるとやっぱり正統な続編とは言い難い出来でした。

まあ最初からそんなとこ目指してなかったみたいなんで、フェデ・アルバレスからしたら「うるせえ!」て感じなんでしょうが…

 

あーーーーもう一回やり直してくれないかなー!

デヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ主演で!

永遠に文句言ってられそうです。

 

そんな切ないことを思わせてくれる映画でしたよ。

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