恋愛映画なんてほんとしょうもない
胸キュン?
はあああ????
知らねー男女がイチャイチャするの観て何が楽しいんじゃ、あほくさ
アイドルに金使ったり、その人が出ているからってだけで映画観たり
イミワカンネー
それで何が得られるの???
まじで金と時間の無駄だわーー
なーんて最近までの僕は本気で思っていました。
ほんとすみませんでした。
関係各所のみなさま心からお詫び申し上げます。
今の僕はみなさまの気持ちが少しではありますが理解できるようになりました。
ということで今日は僕が良いのか悪いのか、改心するきっかけ映画『パンとバスと2度目のハツコイ』を紹介します。
今回の記事は映画レビューというより僕の女性の好みを表明するような記事になってますので、みなさん気をつけて下さい。
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映画『パンとバスと2度目のハツコイ』とは?(まだネタバレなし)
作品データはこんな感じ
作品データ
製作年 2017年
製作国 日本
配給 「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会
上映時間 111分
映倫区分 Gスタッフ
監督
今泉力哉
脚本
今泉力哉
撮影
猪本雅三
照明
安部力
録音
根本飛鳥
美術
禪洲幸久
編集
相良直一郎
音楽
渡邊崇
主題歌
Leolaキャスト
深川麻衣 / 市井ふみ
山下健二郎 / 湯浅たもつ
伊藤沙莉 / 石田さとみ
志田彩良 / 市井二胡
安倍萌生 / 高野理紗子
勇翔 / 柏木芯
音月桂 / 川村久美
監督/キャストについて というより僕が『パンとバスと2度目のハツコイ』を観た理由
監督・脚本は今泉力哉。自主映画出身の監督で『サッドティー』(2013)、『鬼灯さん家のアネキ』(2014)などを手がけています。
『サッドティー』は『カメラを止めるな!』と同じくENBUゼミナールのCINEMA PROJECTの作品らしいですね。
『サッドティー』なんてけっこう話題になってましたし、前野朋哉が好きなんで『鬼灯さん家のアネキ』も知ってはいたんですがどれも未見なんです。
恥ずかしながら。
でも1作品観てました!
映画ではないんですがWEB連続ドラマの『午前3時の無法地帯』(2013)。
本田翼とオダギリジョー主演で、演出を今泉力哉と山下敦弘が分担しています。
山下敦弘目当てで観たのですが、とても面白かったんですよ。
こんなことを言うと怒られちゃいそうですが、本田翼は女優として微妙だなあと思っていたんですが、この作品に限っては良かったんですよね。
で今泉さんは第5-9話を担当されていたんです。
まあ演出を引き継ぐ感じだったと思いますし、今泉さん本来の演出ではなかったと思いますが、全話違和感なく観れたんですよ。
それもそのはずで今泉さんは、元々山下さんに影響を受けていたらしく、もちろん根幹は違うのですが、近いタイプの演出なんですね。
この話を聞いて納得しました。
そして主演は深川麻衣。
元乃木坂46メンバーで今作で映画デビューです。
多分僕はこの映画の公開時にポスタービジュアルと何枚かスチル写真を観たんですが、すごくタイプな顔、雰囲気だと思ったのを覚えているんです。
全然乃木坂46にいたなんてことも知らなくて、新人女優かなあくらいに思ったんです。
でその時はそれだけで劇場には行かなかったんです。
そして月日は流れ数日前、なんでか覚えていないんですがYouTubeで乃木坂46の過去のバラエティ番組映像を観ることになり衝撃を受けます。
か、かわいい…
はい、我ながら非常に気持ち悪いですが、完全に深川麻衣にハマってしまったんですねえ。
30年生きてきてもちろんいろんなアイドルを見てきましたが、特に好きになることはなく多分アイドルに1円も使ったこともないんです。
なのに即Amazonで『パンとバスと2度目のハツコイ』の有料配信をポチったのです。
深川麻衣を見たいがために……
おそろしや深川麻衣…
いやあ、乃木坂46に所属している時に知っていたらと思うと更に恐ろしいですね、色々行ったり買いたくなっていた可能性があるわけですから…というか過去のBlu-rayなんかが欲しくなっている自分がいて怖いです…
そんな流れであまり好きではない、悪い意味でゆるそ〜な恋愛邦画を観るに至ったんです。
共演は三代目 J Soul Brothersのメンバーである山下健二郎。
三代目 J Soul Brothersて一時期天下を取るんじゃないかってくらい勢いありましたよね。
たしかにメンバーもみな華がある印象です。
その中でえ?この人EXILE系なの?という印象だったのが山下健二郎でした。
いい意味で普通というか、ギラギラした外見の人ばかりの中で1人地味というか。
それがこの映画には良かったんでしょうね。
『パンとバスと2度目のハツコイ』のあらすじ
この映画ってあらすじ難しいですね、特に劇的なこと起きないんで。
簡単に書くと
パン屋で働く市井ふみは、2年付き合っている男性からプロポーズされるも「自分と今まで付き合ってきた人の違いは?その人たちとは別れたのになんで私とは別れないと言い切れるの?私はずっと好きでいてもらえる自信も、好きでいられる自信もない」みたいな面倒なことを言って断ってしまう。
結果別れることに。
その後地元から妹二胡が美大の予備校に通うために上京してきて、ふみの家に居候することになる。
そんなとき働くパン屋で初恋の相手、湯浅たもつと再会するふみ。
現在近くのバス会社で働くたもつに再び惹かれるふみであったが、たもつには別れた妻と子がおり、その妻を今でも大好きで忘れられないことを知る。それからふみとたもつ共通の地元友達で、過去にふみを好きだった石田さとみとも再会する。
今では結婚し子供もいるさとみの話を聞きながらまた色々考えてしまうふみ。
後日洗浄するバスの中に入れてもらったふみは、バスの中でたもつに自分の結婚観について語る。
「じゃあ俺がふみを好きになったら俺らの関係も終わっちゃうんだ?」と言うたもつに
「そう、だからお願いだから好きにならないで」とふみは冗談ぽく返す。
全く正反対の価値観を持つ2人は一体この先どこにむかうのか!?……
みたいな話です。
『パンとバスと2度目のハツコイ』のみどころ
もう深川麻衣です。
彼女を観る映画です。
それだけです。
まあさすがにそれは嘘ですがとにかく深川麻衣がいいんです。
もうかわいい
好き
ほんといい
あーいい
なんていうか…
かわいい
我ながらマジで気持ち悪いですが、控えめであまり感情を出さない感じがすごくいいんですよねー。
すんません、ただの僕の女性の好みです。
ちょっと落ち着いて演技的な話をするとものすごく自然なんです。
自然な演技て言葉はけっこう地雷なんですけど、やっぱりその言葉しかない気がします。
ドキュメンタリー演出で狙う自然さとはまた別の自然さですね。
でもやけに深川麻衣という人の雰囲気に合った役だなあと思ったらこの映画の企画自体が深川麻衣ありきで、今泉監督が当て書きして脚本書いたらしいんですね。
だからってそれだけで自然な演技になるわけないんで、深川麻衣の素質なんだと思います。
このまま続けてもただただ気持ち悪く彼女を持ち上げる文章になりそうなのでこのへんで。
ということで映画自体の話をすると
とても言葉で説明しづらい掴み所のない映画でして、ほんとに劇的なことは何も起きない低体温なラブストーリーなんです。
なのでそういう起伏が少ないのが苦手な人は退屈してしまうかもしれませんが、従来のアホくさい恋愛映画が嫌いな人にはおススメです。
よくあるベターなときめくような男女の描写が少ないんですよ。
言い換えると物理的な接触がない。
でもなんか人を好きになってる時のふわふわした気持ちを感じることができるんです。
僕が書くとちょっと気持ち悪いんですけど。
あとそれと同時に日常生活の中で現実の恋愛、結婚の残酷さなんかをちょっとした笑いを絶妙に織り交ぜながら見せてくれます。
あらすじに書いたような変な恋愛観、結婚観をもつ主人公が、初恋の相手やその他の様々な人と関わることで、恋愛や結婚に向きあっていきます。
変と書きましたが、僕は全然そんなこと思ってなくて、けっこうみんなわかるわーて思う考え方だと思うんです。
建前とか常識とかでなんとなくイメージしてしまっている恋愛や結婚の本質を捉えている気がしてハッとさせられるところがあります。
永遠に答えなんて出ないことだとはふみも分かっているんです。
それでもふみは日常生活を送りながらその事を考え悩みます。
ふみは想いを寄せるたもつに自分の変わった恋愛観を語り、たもつはふみに自分が元妻をまだ愛していることを伝えます。そんなおよそ正反対な2人がどんな未来を選択しようとするのか、それを見守りながら僕たち自身もつい色々考えてしまう映画です。
あ、あと山下健二郎もがんばってました。
僕が思うにこの作品の中で一番めんどくさいやつはたもつなので、演じるのが大変だったと思います。
正直そこまでうまさは感じませんが、やはりファンの人は必見だと思います。
・なによりもまず深川麻衣が好きな人
・今泉力哉作品はもちろん、山下敦弘作品が好きな人
・ベタな恋愛映画が嫌い、もしくは飽きた人
・特にこれといった事件は起きない日常生活で綴られる低体温なラブストーリーが観たい人
・結婚について考えすぎてこじらせている人
・山下健二郎ファンの人
映画『パンとバスと2度目のハツコイ』を観る
『パンとバスと2度目のハツコイ』の感想(ここからネタバレ)
ではまずうんこ度(このサイトではどのくらいつまらなかったかで評価しています。10.0=ダメ映画)
1.5/10 とはいえいつものように深川麻衣主演映画をうんこなんかで例えられない
やっぱりね、この評価はいつもとは全然違いまして、映画として評価しようしようとは思ってもどうしても出来ません。
完全に深川麻衣好きのバイアスがかかってしまいます。
すごく深川麻衣が良かったんで。
それを頑張って、ほんと頑張って差し引いて考えてみても好きな映画でした。
面白いというより好きって言葉がしっくりきます。
日常の淡々とした描写がなんとも好きな空気感でした。
僕は10年前くらいから流行りだした、ほのぼの日常系というか、穀物とかカフェとか好きな女が好みそうなゆるーいだけのくっそつまらない邦画が嫌いなんです。
今作もオープニングの喧嘩からタイトルが出る辺りで流れる、リコーダーの音のようなポーポー鳴ってる音楽を聞いた時は嫌な予感がしたんです。
ほのぼの日常系はそんな音楽が流れがちなんです。
あと今作で唯一その喧嘩のシーンだけがテンション高めな演技が出てくるので、こんなテイストが続くんだったら絶望だなあと。
でもこの映画は違いました。
音楽もその後はほとんど使われていません。
意図もなく無駄に真顔を並べて笑いを誘おうとするような、くそな演出もありません。
決してオーバーな演技をさせない、地味だけど丁寧な演出でした。
深川麻衣について
繰り返しになりますが深川麻衣がね、とにかくかわいい!!!
というかもうねーこの深川麻衣が演じる市井ふみのことがね、好きです。
特に好きだったのは先述したバスの中での「そう、だからお願いだから好きにならないで」の言い方。
もう最高でしたね。
仕草
まずいちいち仕草がかわいい。
コーヒーカップの両手での持ち方、垂れた目薬の拭き方、朝起きてからの食パンの食べ方、バス見てる時のパンの食べ方、明日は休みだと言いながらの寝返りの仕方、コインランドリーでの本の読み方などもはや何しててもかわいい状態ですが、すべてちょっと気が抜けている感じというか、少しゆっくりな感じがなんともいえない魅力です。
ファッション
あとファッションですね。
全て僕が好きな雰囲気なんです。あれって雑誌でいうと何系なのか分かりませんが、ちょうどいいくらいの女性的な感じがするんです。
カーキ系のオールインワンや部屋着でのグレーのワンピース、柄物のロングシャツやボタニカル柄シャツにカーキのパンツ。
これも挙げたらキリがないくらいツボなファッションセンスです。
あのちょこんとしたリュックもいい感じなんですよ。
面白いのは僕が個人的に一番微妙だなあと思うコーディネートをオシャレ着として妹二胡が選んだこと。
その後の2人きりで山に行くときもそれ着ていくのですっかりデート服になってしまったんですね。
更にヘアバンドまで足されているんですが、なんともこれだけは好きになれないんです。
これはあえて狙ってやっているのか、僕のファッションセンスの方が微妙にズレているのか分かりませんが狙ってやってたら、ファッション面でもズレた演出をしているということなんで面白いですねえ。
ふみの人間性
ふみの不思議なところでもあるのですが、結婚や好きということについてはあんなに深く考えてしまうのに、その他のことについては達観しているというかあまり深くとらえない感じがします。
もう想像の域に達してますけど、かなり懐が深いですよね。
仏一歩手前状態です。
たもつにいろんな場面でどんなに振り回されても、洗濯機壊れても劇中何があっても劇的に感情を表に出さないんです。
もちろん心の中ではすごい葛藤が渦巻いているんでしょうけど、決してヒステリックになったりしないですよね。
そこがまたいいんですよねー。
現実でたまにそういう人いるんで聞いてみたことあるんですが、ほんとにあまりイライラしたりしないらしいんですよね。今書いてて思い出しましたけど、その人も普段は全然こだわりとかなくて流されるままってかんじなんですけど、変なところだけすごいこだわったりするんです。
そんなフラットな人が結婚相手にはいいですよね〜。
あーいいなー。
あとふみは携帯を携帯してなかったりします。たもつと再会する前なので、男っ気がないという表現だったのかもしれませんが、そういう携帯に振り回されない今どきの女子じゃない感じも好きでした。
女優深川麻衣について
ということで女優深川麻衣について書こうと思ったのに、ここまで熱く長々と市井ふみが僕のタイプの女性だという誰も興味ないことについて書いてしまいました。
女優としての深川麻衣は映画初出演とは思えなかったです。
先述したように脚本が当て書きなんで、演じやすいは演じやすいんでしょうけど、とはいえすごい自然体だと思いました。
あと演技どうこうじゃなくてあの透明感ある嫌味のない存在感は映画に適していると思います。
あ、そうですね、自分で書いてて納得しましたけど、嫌味がないんですよ!これだ!
最近は流行りなんですかね、薄い顔だちの幸薄そうで透明感ある女優さんがたくさん出てきてますけど、深川麻衣が誰よりも嫌味がない気がします。
みんな「自信ないですー、私」って表情はしているけど、なんか腹の中では自分を誇っているというか自身満々というか。
それが深川麻衣は感じられないんですよ、僕にはね。
あくまで僕には。
深川麻衣は再び今泉監督作品『愛がなんだ』(2019年公開)に出演するらしいです。
この役は素の深川麻衣とは大分離れた役らしいので、今からどんな演技を見せてくれるのか非常に楽しみです。
印象的な恋愛、結婚に関してのセリフ
この映画で語られる恋愛感、結婚感に僕はものすごい共感できたんですよ。
これは今泉監督のオリジナル脚本なので監督の人生観なんかが色濃く出ているんだと思うんです。
だからやや男目線気味なのかなあと。
まずふみのプロポーズしてきた奴に対する言葉
「今まで付き合った人たちとは別れたのに、なんで私とは別れないって言い切れるの?」(要約)。
「ずっと好きでいてもらえる自身も好きでいられる自信もない。」(要約)
ほんとそのとおりです。
僕もこれを考えてしまいます。
毎回付き合いたての時はこの好きだという気持ちが永遠に続く気がするのに、結局終わりを迎えます。
しかもわりとすぐ。
冒頭ふみは不倫を巡って喧嘩する同僚を観て、なんでこんなに人を好きになれるのだろうかと考えています。
僕もほんとにそう思います。
なんで一生愛することなんてきっとできやしないのに、みんな良い年頃になると結婚をするのだろうかと。
絶対後悔する時がくるだろうと。
うん、ほんと僕は結婚できそうもありません。
全くふみの結婚感が変だとは思わないですから。
これに関連して
・ふみの同僚が交際相手から言われたという「付き合ったり結婚してないからずっと一緒にいられるんだと思う」
・さとみがたもつに言う「好きだった人のこと付き合わないで嫌いになれる?」
・バスの中でふみがたもつに対して言う「私は寂しくありたいんだと思う。人から好かれると引いちゃう」
これらもものすごい分かるわーと思いました。
ミステリアスな部分があるから好きでいられるというのはすごく分かるんです。
付き合えたから満足するでもなく、付き合ってその人の嫌なところを知ってしまったからとかでもなく、なんかいつの間にか男女として好きではなくなってきます。
知りたい気持ちが原動力なんですかね。
だから逆に知りたいと思われると引いてしまいます。
そういうこと言うと周りからよく「ほんとに人を好きになったことないんだよ」とか「子供だなー」とか言われます。
うるせー、ばーか!!
幸せそうじゃないおまえらに言われたかねーわ。
そういうこと言うやつに限って幸せそうじゃないので良く分かりません。
印象的な描写
今泉作品がセリフや雰囲気だけの演劇的なものにならない理由は、映画としての描写にもこだわっているからだと思いました。
まずタイトルにもあるバスの洗浄シーン。
主人公のふみがパンを食べながらそれを見るのが好きという設定ですが、これは見ているふみもバスを洗浄している様子もショット自体が良かったですね。
ぽつんとふみがパンを食べながらバスを見つめる引きのショットは何回か出てきますが、ふみの持つ日常性と孤独というイメージが色濃く出た美しいショットでした。
またそのふみが見つめる対象であるバスの洗浄ショットは動きという点でまず面白かったです。
ふみが見つめる引き気味のショットはあまり詳細が分からなくて、見ている僕もあれってどうなっているのか見てみたくなりました。
その後ふみはたもつにバスの中でその洗浄を見せてもらうわけですが、その時の回転しだすブラシ、それがウィーンと動きバスの車体を覆い、そして車体に大量の水が滴り落ちる。
水が流れたり降ったりするのってめちゃくちゃ気持ちいいですよねー。
なんとも映画的な素晴らしい動きだったと思います。
水が滴り落ちる窓の外からのふみの顔はとても美しいんですけど、どこか悲しく見えるんです。
非現実空間に閉じこめられたふみの高揚と同時に、同じ空間にいるのに距離がある2人の孤独感などがとても伝わってきます。
水が降り注ぐ密室で男女が2人きりになる、こんなに美しくてハラハラさせられるショットをよく考えたなーと感心させられました。
次にふみが目薬をさす姿です。
この緑内障設定は最後まで何のための設定なのかははっきりわかりませんでした。
それこそ他の人とは見てる世界が違うということなのかなー?と。
でも目薬をさす時、頬を流れる一滴を手で拭う姿が涙を拭うようで美しく、これが撮りたいがために設定したのかなと思ったほどでした。
何回か目薬をさすんですが、その場にいる人物はついその姿を凝視してしまうんですね。
あと印象的なのは酔って帰ってきてそのまま寝ようとするふみに、妹二胡が目薬をさしてあげるシーンですね。
1日1回ささないと失明する可能性があるという設定なので、孤独を揺さぶる要素が欲しかったのかなあなんて思ったり。
あとはコインランドリーですかね。
コインランドリーもやはりそのビジュアルで孤独を感じさせられる最適な場所だと思いました。
外からのコインランドリーのショットってなんでこんなに映画映えするんですかね。
しかもふみの本を読む姿、ファッションが最高に美しいんですよ。これもやはり美しくてかつ、どこかもの悲しいショットではあるんですけど、それと同時にふみの芯の力強さみたいなイメージも抱いたんです。
小汚いとこに美女って感じだからですかね。
よく分からないですけど不思議な美しいショットでした。
それと終盤のふみの家で繰り広げられる、ふみ、たもつ、二胡の長回しですね。
3人が順番にトイレに立ち、それぞれ2人きりの会話が展開されます。
3人とも微妙な距離感なんで緊張感もあって面白いシーンでしたね。
ちょっと演劇的なんでもうちょっと空間を動かしてくれたらもっと良かった気もするんですけど、あの3人の低体温な空気にはあれくらいのカメラ移動がやっぱりちょうど良かったのかなーなんて思ってます。
たもつ
それにしてもたもつという男は鈍感だとしてもちょっとひどい男ですよね。
ふみが過去に自分に告白してきたことは覚えているわけで、男だったらもしかして今でも…って必ず考えるとと思うんです。
自分もふみのことが気になってるけど、それより一番好きなのは元嫁なんです。
なのにあんなにふみを誘いまくる。
しかもふみに好きなのは元嫁と公言し、自分の息子の誕生日プレゼントを作らせ、幸せそうな家族写真まで送りつける。
更に元嫁の代わりに思い出の場所にふみを誘うという卑劣行為まで働きます。
あげくふみは好きだけどもっと元嫁が好きだと言ったにも関わらず、ホイホイふみの家に泊まりに行き、その帰りには付き合おうかなんて軽く言います。
もうね、こいつ最低ですよ。極悪人です。
と言いつつ僕はたもつの気持ちが分かるからバツが悪いです。
ふみとたもつはどうなったのか?
最後2人は付き合うのか付き合わないのかすげー微妙な感じ終わります。
けっこうモヤモヤした人も多いんじゃないでしょうか。
僕は映画のその先も時間が続いてそうな映画の方が好きなので、あの終わり方は良かったと思いました。
でもどっちなんですかね?
あれだけ元妻が好きだと言っておきながら、いいところでふみにサラッと告白する欲望に忠実なたもつ。
ふみは「いいよ、そのかわり絶対に私のこと好きにならないでね。」と冗談ぽく返します。
画としては明るい未来に進むような2人のイメージに思えましたけど、上に書いたこと考えるとやはり付き合ってもどこかで破綻するんじゃないですかね。
だからあれはやはり気持ちを確かめ合いながらも冗談ぽくお互いに流したんじゃないかなあと思いました。
でも人間の好きって感情はたもつが体現している通り、理屈じゃないですよね。
だからふみがいつか理屈抜きで、最後のナレーション「その魅力の本質を知ってしまっても憧れ続けることができるのであれば…」ということができる時がくれば結婚できるんでしょうね。
すげー当たり前のことを遠回しに言った気がします。
分かりづらいところの解説
まずおばあちゃんに電話するシーン。あれ、いる?って僕は思ったんです。
でもこれは今泉監督のインタビューによると、結婚を疑うような登場人物の場合、たいてい親が片親だったりとか家族に何か原因があるという設定が多いらしいんです。
それを避けるために普通に家族いるよーてことをあそこで見せたかったらしいです。なーんだ。
あとはパン屋のナプキンに書く”alone again (naturally)"。
これはアイルランド人シンガーソングライターのギルバート・オサリバンの曲名なんですね。
全然僕も知りませんでしたが、和訳的には”またひとりぼっちになった、当たり前みたいに”て感じらしいです。
たもつの寝顔を見ながら、たもつへの思いを諦めようとするようなちょっと切ないふみの気持ちが表れたシーンだったんですね。
さいごに
すごい取り留めのない感想になってしまいましたが、今振り返ってみても掴みどころのない映画だったなあと思います。
でも普通(日常生活の映画)なんだけど普通じゃない(よくある映画とは一線を画す)映画を作ろうとする今泉監督の姿勢はすごく好きでした。低体温なんだけど、それがあざとくなくて、僕の好みの雰囲気の映画でした。
そして何より深川麻衣を存分に楽しめる良作だったと思います。
あーほんとにかわいいー
これからお金が飛びそうです
完
映画『パンとバスと2度目のハツコイ』を観る
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