映画『ハード・コア』映画の意味することは?解釈&ネタバレ感想!山下敦弘、山田孝之ファンは必見だった!!
(C)2018「ハード・コア」製作委員会

 

「んーまあどっちかと言えば、洋画かなー」

 

「えーどこかひとつ?…んーアメリカかなあ」

 

この世界にはこの邦画、洋画どっちが好きか質問というくだらないものがあるわけですが、僕はいつも先のように答えるのです。
そう、僕はその他大勢と同じく洋画の方が好きです。

全然ひねくれてなどいません

最近はむしろ邦画のほうが好きなんて人も多いと聞いたりしますが、一昔前なんて邦画=くそださい なんて風潮ありましたが

 

今でもそう思ってます

 

だって妙に恋人、家族が大変な病気になりがちだし、
妙にウェット(涙至上主義)だし、
妙に顔整ったいつも同じ若者たちが恋愛ばかりするし、
妙に変なエフェクト、効果音で大げさな演出ばかりするんだもん。

 

という感じで洋画に比べて邦画の好きな作品が多くない僕でも、日本に大好きな映画監督がいるのです。

 

それが山下敦弘

『ばかのハコ船』(2002),『リアリズムの宿』(2003),『リンダ リンダ リンダ』(2006)などの傑作を生み出した天才です。

大阪芸術大学の同期である脚本家 向井康介とコンビで撮ることが多くそのほとんどが傑作なんです。

いずれこのブログでも山下敦弘特集したいんであまり多くは書きませんが、社会にうまく馴染めない、いわゆる”ダメなやつ”というレッテルを貼られた人間を撮るのが抜群にうまいんです。

日常の人間同士の間であったり、空気、ズレなんかを描いたらピカイチで、映画ならではの面白さを存分に味わうことができます。
撮るショットも一歩引いた乾いた空気のものが多く、オフビートと称される笑いの要素なんかも特徴です。

初期の『どんてん生活』(1999),『ばかのハコ船』(2002),『リアリズムの宿』(2003)はダメ男3部作なんて呼ばれるようにダメ男が主人公になることが多く、その他の邦画とは大分違った魅力を放ち、大変注目された監督でした。

 

ですが『マイ・バック・ページ』(2011)という学生運動を題材にしたそれまでの作風とは違ったややシリアスな作品を撮ったあたりから、もちろん映画は面白いんですが、山下さんらしさが薄まってしまった気がします。

映画監督も進化、成長を求めて新しいことをしなければならないわけですが、僕は映画監督には多様性より専門性というか強みを大事にしてもらいたい派なんです。
その人じゃなきゃできない作品にしてほしいんです。

 

でようやく本題!

そんな僕が観たかった山下映画がついに帰ってきました!!!!

最高の社会の底辺の男たちを描いた『ハード・コア』です!!!!!

映画『ハード・コア』とは

作品データはこんな感じです。

作品データ

製作年 2018年
製作国 日本
配給 KADOKAWA
上映時間 124分
映倫区分 R15+

スタッフ

監督 山下敦弘
原作 狩撫麻礼
いましろたかし
脚本 向井康介
プロデューサー 二木大介
根岸洋之
山田孝之
ラインプロデューサー 原田耕治
撮影 高木風太
美術 安宅紀史
照明 秋山恵二郎
録音 竹内久史
編集 佐藤崇
特殊造形 百武朋
スタイリスト 伊賀大介
音楽プロデューサー 齋見泰正
音楽 Ovall
エンディングテーマ Ovall feat. Gotch

キャスト
山田孝之 権藤右近
佐藤健 権藤左近
荒川良々 牛山
石橋けい 水沼多恵子
首くくり栲象 金城銀次郎
康すおん 水沼
藤原季節
松たか子 バーの女

山田孝之と佐藤健が兄弟役を演じ、作・狩撫麻礼、画・いましろたかしによる伝説的コミック「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」を実写映画化。山田が主演のほかに自らプロデュースも務め、「映画 山田孝之3D」などでも組んだ山下敦弘監督がメガホンをとる。あまりにも純粋で不器用なために世間になじめずに生きてきた男・権藤右近。群馬の山奥で怪しい活動家の埋蔵金堀りを手伝って日銭を稼ぐ彼にとって、心優しい仕事仲間・牛山だけが心を許せる相手だった。右近の弟でエリート商社マンの左近は、そんな2人の無為で自由な日々を歯がゆい気持ちで見守っている。ある日、右近と牛山は、牛山が暮らす廃工場で、古びた1体のロボットを見つける。その分野に詳しい左近が調べると、実は現代科学すらも凌駕する高性能なロボットであることが判明。彼らはロボットと不思議な友情を築いていく一方で、その能力を使って巨額の埋蔵金を密かに発見してしまう。個性派俳優・荒川良々が牛山役を演じる。

原作の漫画は未読ですし、僕は映画観てもほとんど原作が気になったりしないので、読まないと思います。
映画は映画自体の内容のみで語られるべきですから。もちろんより理解が深まるという側面はあると思いますが。

その原作を映画監督をする前から愛読していた監督山下敦弘と、原作の舞台化が企画された際に読んでいた主演・プロデュースの山田孝之が映画化したわけです。

2人は『BUNGO〜ささやかな欲望〜 告白する紳士たち』(2010)で知り合いその後カルトテレビドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」、「山田孝之のカンヌ映画祭」とちょっと自由すぎる映像を作ってきました。
ドラマなんかも途中までは面白かったりするんですが、途中からやりすぎてよくわからなくなってましたね。

 

2人にとっては待望の映画化だったみたいで山田孝之はプロデューサーまでやってます。
がもっと思い入れのあるのは山下さんだったみたいで、もう、いましろたかし漫画が大好きで映画を撮る際の血となり肉となっているらしいです。
僕も実は山下さんが好きだという、いましろたかし漫画が気になって数年前に1冊短編集を読んだことがあるのですが、確かに通じるところがあります。
ほんとにダメな男が主人公なところや特に物語に起伏があるわけじゃなく、日常の一コマが描かれているところなどですかね。

そして脚本が山下敦弘の盟友向井康介!!これは期待せずにはいられない!!!

ということで観に行ったのでしたー。

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感想(ここからネタバレあり

うんこ度(このサイトではどれくらいつまらなかったかで採点してます)

1/10 もう出たかどうかも分かんないくらいのうんこ

 

この採点は久しぶりの山下さんの超本格的ダメ男作品ということでかなりバイアスかかってます!

だって山下さんの作品でこんなに笑ったの久しぶりでしたから。とにかく山下映画で笑いたかったんです。

 

『映画 山田孝之3D』は除くとして前作『ぼくのおじさん』(2016)はほんとに酷かった!

え?これ山下さんの映画???うそお?帰りたい…

と思ったほど全編ダダ滑りの観たことを後悔するくらいヘンテコ映画でした。

 

その反動もあってもうほんっっっっとに面白かった!!!

 

 

 

まずストーリーは最後までここに書いたところで

はあ、で???

ていうストーリーです。だからネタバレとかもあってないようなものな気がします。

ほんとに画面を観ないとこの面白さは分からないと思うので。

でも簡単にこの映画を言い表すと、

言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンと思って苦しむ男がそれでも必死に現実を生き抜こうとする話

我ながら分かりづらいですねえ。

 

じゃあやっぱりもう少し詳しく

ちょっと真面目に。

私達は社会で生きていると、日頃これはおかしい、間違ってる!と思いながらも、でもそれが世の中だと受け入れてしまっていることってけっこうありますよね。
流すことが大人だ!みたいな。
でも主人公の山田孝之演じる権堂右近は、これを許せない流せない、めんどくさい人間なんです。
打算だったり、金で物事を解決するなどですね。よく言えば純粋なんです。
更に言うと、この欺瞞に満ちた世の中に溶け込んでしまう自分ということが許せない。
普通に生きてしまっている人間を別の世界の人間と思っています。
それでもできることなら周りと同じようにイベントや遊びで騒いだり楽しんだりもしたいし、所謂普通な生活をしたいと心の奥底では思ってるはずなんです。
でもそれがどうしても出来ないから、逆にそういった気持ちには完全に蓋をし、周りを見下してアウトローとして生きるしかない。多分ですけど。

だから冒頭のバーではただ騒ぎたいだけのハロウィンで仮装した若者を横目に苛立ちます。
なんなんだ、ハロウィンてうるせーなて気持ちと、ほんとは自分もそうやって人と交われたらいいのにという普通の人への嫉妬心もあると思うんです。
右近は自覚していませんが。だから苛立つ。
そんな右近と同じ考えのようだったイイ女松たか子を気に入るが、そんな松たか子はすぐその世の中に馴染んでしまう、あっちの世界の人間だった。
そんな松たか子に若者があっさりとキスを成功させてしまうことで右近の苛立ちはピークに達するんですね。
ほんとは自分がそうしたかったんだから。

 

そんな超めんどくさい男右近なんで、唯一自分を受け入れてくれた怪しい結社の代表金城とその部下水沼には恩を感じています。
というか私的には右近は恩を感じよう、こんな欺瞞だらけの世の中で自分だけは違うんだ、心から誰かのために生きるんだと無理やり頑張っているように見え痛々しいです。
まあ金城には本当に恩義を感じてしまっているようですが。

あ、秘密結社は演説など以外で何してるかと言うと、群馬の山奥で週一で埋蔵金探しをしております。

 

右近には自分と違い、世の中に溶け込みうまく生きるエリート商社マンの弟、左近(佐藤健)がいます。
そんな左近も本当は日々世話しなく、なんとなくしているサラリーマン生活に嫌気がさしています。
だからなんだかんだ生き方、考え方は真逆ですが右近を理解し、そっと見守っています。
多分自分が受け入れた現実に抗い続ける右近にほんの少し憧れもあるんだと思います。

そして右近が唯一心許せる存在が、ほとんど喋らないがいつも隣にいてくれる牛山(荒川良々)です。
どうやって知り合ったかは描かれませんが、もう寂しいもの同士の腐れ縁なんでしょう。
右近は牛山だけには優しいんです。
童貞の牛山のために風俗嬢呼んだり、牛山を馬鹿にした同僚を殴ったり。

そんな彼らの前に現代の科学技術を遥かに超えた超高性能ロボ、ロボオが現れ

 

 

 

 

疲れました

 

 

てことで説明したかったのは右近と左近の人間性なんです。

正直そこが映画は分かりにくい!!!
世の中に馴染めていないことは示されるんですが、右近がどんな信念を持っためんどくさい奴なのかがあまり描かれていないので、これなんの映画だったんだろうって思う人続出な気がします。

 

なぜ僕は右近のことをわかったように書いたか。

 

それは僕自身がめんどくさい人間だからです!!!

 

なので右近のことも僕の勝手な解釈です。

もうストーリーやめて次からは細部にいいところ!

キャストが絶妙

広岡由里子

まず牛山のために呼んだ女の絶妙さ!

広岡由里子が演じているんですが素晴らしい!!

絶妙な出オチ

扉を開けるカットのタイミングもサイズも完璧でしたね。

やりすぎる映画が多いんでコントみたいになるんですよ。
笑わせまっせーて感じの芸人さん使ってみたり、酷いと効果音とかまで入れちゃいますから。

首くくり栲象

次に怪しい結社の代表金城を演じた首くくり栲象。
山下、山田とは「山田孝之のカンヌ国際映画祭」で知り合っていて今回キャスティングされたわけですが、今年残念ながら亡くなってしまったんですねえ。
その名の通り本当に首を吊るパフォーマンスで有名な方でした。
そんな金城が街頭演説するんですが

 

一切何言ってるか分かりません

 

演説だけじゃなく基本何言ってる分からないんです。

そこが、あーこういう怪しいやつ本当にいるわー!という絶妙なリアリティを出していました。

康すおん

そしてその部下水沼。
演じているのは『もらとりあむタマ子』で温かみのあるお父さんを演じていた康すおん。
こいつは味方のふりしているけど、きっと裏では悪いこと考えているてのが一目見ただけで分かる表情をしています。
あーこういうずる賢そうな奴いるわーて思わせてくれる説得力があります。『
もらとりあむタマ子』と同じ人とは思えません。うまいですねー。

右近は水沼を恩人なんだ、信じよう、信じようと思おうとしますが、やはりどこか信じられません。

というか多分生理的に嫌いか別の世界の人間だと本能では見破っていて、苦悩します。

石橋けい

そして水沼の娘、多恵子を演じた石橋けい。
この人が一番驚きました。
だってあの西友のCMの人ですよ?
超地味地味な。

そんな美人でもブスでもなく、だからこそ体で男を手玉にとるみたいな、現実の犯罪者にいそうな女。
そんな多恵子を、ほんとにそんなに美人でもブスでもない顔と、いい具合にむっちりした体で見事に演じていました。

けっこう大胆な濡れ場や見ているこっちが恥ずかしくなるようなシーンもあり、この人こんな役やるんだーと関心してしまいました。
これも一歩間違えばただのギャグキャラクターになるところですが、ギリギリのところを綱渡りして見事に渡りきった感じでした。


あとスキンヘッドのヤクザは映画監督の奥田庸介だったり、最後の機動隊のセリフあるやつは山下、向井の盟友、山本剛史が久しぶりに出てきて大変嬉しかったです!!!

ロボオがかわいい

の映画の魅力の70%がロボオなんじゃないかというくらい魅力的でした。

ポンコツに見えるボディですが、実はほぼ空洞で量子プロセッサーとその冷却装置だけが入っているという超高性能ロボです。
ロボオのデザインは原作に基づいていますが、内部は監督たちがロボットの専門家にリサーチして決めたことらしいです。

でこのロボオ

顔がかわいい

一切表情が変わらないところがほんとにかわいい。

(C)2018「ハード・コア」製作委員会

 

どうやったってロボオは目立つので、右近はロボオを人間がコスプレしている姿ということにして埋蔵金探しに連れて行きます。
その自己紹介のくだりなどがまた笑えるんですが、その後洞窟を掘るロボオの画が最高なんです。

バッと画面が変わるとロボオの顔とロボオにかかる土がバストショットで映され、その後ウェス・アンダーソンの映画のような完全に作り物感ある洞窟の断面の画に繋がれます。

ロボオが腕を360°ただ回して穴を掘り進める姿は最高でした。

これぞ山下節と言いたくなる引き画の使い方でした。

(C)2018「ハード・コア」製作委員会

 

 

右近と牛山は埋蔵金探しで月7万円貰っているのですが、牛山が実はもっと多く入ってるんじゃないかと何度も札を数えていると、それを見たロボオが牛山に自分の分を差し出すんです。

 

 

ロボオおおおお

 

 

もう抱きしめたくなります

 

 

 

それを受け取らない牛山も良かったです。

 

ロボオは埋蔵金探しで大活躍だったので1人だけ10万円貰っていたのですが、使いみちないんで、結局3人でキャバクラに行きます。
その変装のくだりも面白かったし、3人につくホステスの残念な感じも良かったです。
極めつけはホステスに促されロボオが踊るところ。
まさにロボットダンスをします
かなり笑ってしまいました。

 

色々あってその後2人はロボオに抱えられて空を飛ぶことになります。
この映画の見せ場ですね。
その時の2人を抱きかかえるロボオのロボット感が堪らないです。
UFOキャッチャーみたいな動き。

 

その後はただの商社マンなのにやけに工学に精通した左近の進言で埋蔵金をロボオに探させると100億の埋蔵金を本当に見つけちゃいます。
またただのイチ商社マンであるはずの左近がその埋蔵金を海外で現金に変えてくると言って旅立ちます。

 

左近、おまえはなんなんだ… すごすぎるだろ

 

メインキャスト3人

てことでメインの3人について。

山田孝之

山田孝之はもう覚醒してますよね。佇まい、雰囲気だけで画面を成立させる力を持ってしまいました。

恐ろしい男です。ベニチオ・デル・トロなんかと同じですよ。

顔だけでも画面をもたせられます。

 

オーコワイ!!!

 

 

多恵子との絡みは場内爆笑でした。

電話での振り切った舐める演技もですが、個人的には首を絞め合いながらするところ。

多恵子が感じまくってるけど、右近は苦しいだけで全然気持ちよくない。

めちゃくちゃいい顔してました。

言われるがまま必死に多恵子についていこうとするんですが、多恵子は別次元なんでもう快楽しか頭にない。

右近は心の奥では甘えられる女性を求めているのに好きになってしまうのは、そんなこととは無縁の女。

やはり右近は孤独です。

この笑いとせつなさの落差が良かったです

 

荒川良々

荒川良々はもういつもどおりです。

ううっ しか言わないですが、牛山の孤独、悲しさが伝わります。というか荒川良々のあのビジュアルは反則ですよね。

 

なんですか、あの顔

 

すごすぎますよ、気持ち悪さ可愛さ得体のしれない感の同居した唯一無二の顔。
得体の知れない牛山は荒川良々以外出来なかったんではないでしょうか。

 

佐藤健

クセ強め、顔面強め、ルックス強めなキャスト勢揃いの中でいい意味で浮きまくっていたのが左近役の佐藤健でしたね。

茶色や群青色や黒の画に、白がパッと塗られた感じ。

社会にうまく馴染んでいる自分に、実は違和感を感じている左近をあの冷めた鋭い眼差しでうまく表現していたと思います。

居酒屋のシーン

左近が会社でやってる時、窓に映る自分の顔を見つめるショットで視覚的にも今の自分に対する違和感が示されていました。

だから本当は左近は右近と根底は同じなんだと思います。

 

そんな2人は居酒屋でお互いの気持ちをぶつけ合い、殴り合います。

お互いの考えが垣間見える重要なシーンでした。

「間違ってんのが世の中だろ」という左近のセリフは世の中の真理ですよね。
そんなことみんな分かっているけど、もがきながらいつの間にかそれを受け入れて必死に生きている。
じゃないと苦しいから。
生きづらいから。

右近の気持ちは痛いほど分かるが、それじゃあ右近が苦しむだけだということを左近は分かっている。
逆に右近も左近の言っていることは、殴られた後なのでまさに痛いほど分かっている。
でもどうしても出来ない。

そんなお互いが深いところでは繋がっているのに、すれ違ってしまう切なさが描かれていましたね。

こういう人生の悲しみも描かれているから山下作品は名作になるのだと思います。

大切なものはなんなのか

映画は背中に刀と書かれたくそダサいシャツを着た右近が繁華街の人混みを歩く後ろ姿から始まります。
道のど真ん中で人混みに紛れそうで紛れない浮いた右近の背中が、世間に馴染めないアウトローであることを視覚的に示していました。
信念を曲げないブレない男であると。

でも実は右近はブレブレな人間です。
何かブレない信念をもっているという理想の人間になりたいだけ。
もう社会に折れる時を逃してしまった迷い人です。

それが分かるのが、埋蔵金を発見した時と多恵子やってる時。

あんなにどうでもいいと思っていたのに、いや思おうとしていたのに、いざ自分の人生が大きく変わるであろう大金を眼の前にしてしまうと、右近はぶれまくります。
なにをしていいか分からず、左近の言う通りにするだけです。
つまりこのとき右近のコアは金に傾く。

 

しかし右近の勝手な勘違いでしたが、左近が海で死んでしまったと思い込みます。
つまり金というコアはなくなった。
また右近はぶれ、多恵子という異性にコアの安定を求めます。
しかし先述の通り、体の関係にしか興味のない多恵子は右近が求める心の繋がりを拒否します。

コアぶれぶれの右近が結局たどり着いたのはこれまで助け合ってきた牛山とロボオの元でした。
そこで右近ははっきり認識するのです、やはり生きていくために大切なのは他人を思いやる愛だと。
これまでの自分は間違ってなどいなかったと。
これぞ、「ハード・コア」だと。

ですが現実は残酷なもので、右近は純粋で人を思いやったが為に、水沼によって金城殺害の濡れ衣を着せられ、警官隊に囲まれるという絶対絶命のピンチを迎えます。

そしてロボオはある答えを導き出します。
右近と牛山という純粋な存在は、このままこの世界で生きていったら苦しむだけだと。
ロボオは再び2人を抱えて飛び上がりそのまま爆発するのでしたー。

その後何も知らない左近は牛山の住処に約束どおり金を携え帰ってきたのでしたー

 

 

で原作は終わるらしいんですがそれではあまりに辛いということでオリジナルのラストが付いています。
現実か夢かも分からないどこか遠くの国で幸せに暮らす2人の姿です。

これは僕は蛇足だと思いましたねー、ちょっと締まりの悪いラストだと思いました。

だったら爆発いらねーじゃんて。
死んだと思ったけど生きてましたーじゃ言いたいことも二転三転するような気がして嫌でしたね。
それにちょっと現実に跳ね返される切ないラストの方が個人的には好きだなーなんて。
アメリカン・ニューシネマみたいな。

 

ま、他が良かったんで気にならないですが!!

以上が後半の僕の解釈でしたー。

めちゃめちゃ笑わせてもらった後のこの切ないラスト。

いやーやっぱ映画って人生を感じさせてくれますねー。

完全に山下向井両名のオリジナルラストはなかったことにしてますが…

おわりに

今作以外ももっと山下作品をみなさんに観てほしくてつい力が入ってしまいました。
書きたいことがありすぎて全然まとまりのない記事になってしまいました。
まあいっかー

山下映画は、絶妙な人間関係の間(物理的な距離感もだし、会話の間も)やダメ人間の世の中とのズレをやや引き目の構図で的確に捉えていて、それがくすくす笑える面白さにつながっています。

昔のように引いた画で捉えられたカットは少なくなりましたが、絶妙な空気感を捉えるショットの数々は見事でした。

今回はゲラゲラとクスクスの中間くらい笑ってしまいました。

 

分かったようなことを書いていますが、あくまで僕の勝手な解釈なのであしからず!!!

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