映画『ボーダーライン』タイトルの意味は?分かりづらいところを解説
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いまいちパッとしないポスタービジュアルと『ボーダーライン』というビデオスルー映画感の漂うタイトル。

『灼熱の魂』(2010)という凄まじい映画を見ていなければ今作も2016年に観ることはなかったかもしれません。

今度は『灼熱の魂』をどこで知って鑑賞したのかは全然思い出せないのですが、とにかく胸が容赦なく締めつけられる映画でした。
まあ映画として好きかどうかは別問題ですが。

でこの2作品を撮ったのがカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ

 

 

何回もただ言いたくなる名前です。そしてローマ字入力むずい。
『ボーダーライン』の後には『メッセージ』(2016)、『ブレードランナー 2049』(2017)と良作を発表し国際的に活躍しています。

『灼熱の魂』きっかけでネット配信で観れるドゥニ・ヴィルヌーヴ作品が『ボーダーライン』だったのでした。

それにしてもカナダって私にはあまりぱっとするところがないのですが、というか身近じゃないというか…「キン肉マン」のカナディアンマンしか浮かびません。

でもカナダ人監督って国際的にけっこうすごい監督いるんです。
我らが倒錯の父デヴィッド・クローネンバーグ、自分よりやや歳下の1989年生まれで俳優もやるグザヴィエ・ドラン

グザヴィエ・ドランはちょっと青臭くて好きではないのですが、すごいカリスマ性だとは思うのです。
まずかっこいいしね。

クローネンバーグはもう説明不要の頭ボンッ監督です(わからない方は『スキャナーズ』をお調べください)。
そんなんばっかかと思ったらその正統進化版のような『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)『イースタン・プロミス』(2007)という傑作を近年になって生み出しちゃってます。

ああ……二人もまた名前をただただ言いたくなります…

クローネンバーグ

グザヴィエ

クローネンバーグ

クローネンバーグ

グザヴィエ

カナダ人すげー

 

話はそれましたが『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』というまたまたイマイチな副題がついた続編が公開されたということで鑑賞前の復習としてもう一度観ることにしました。
家のプロジェクターで120インチの画面でSONYのサラウンドヘッドフォンをしてamazon prime videoでね。
この小規模ホームシアターがけっこう手軽なのにいい感じなのでまた別の機会に書きたいと思います。

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映画『ボーダーライン』とは??

作品データ

原題 Sicario

製作年 2015

製作国 アメリカ

配給 KADOKAWA

上映時間 121

映倫区分 R15+

スタッフ

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

製作 ベイジル・イバニク

エドワード・L・マクドネル

モリー・スミス

サッド・ラッキンビル

トレント・ラッキンビル

製作総指揮

ジョン・H・スターク

エリカ・リー

エレン・H・シュワルツ

脚本 テイラー・シェリダン

撮影 ロジャー・ディーキンス

美術 パトリス・バーメット

衣装 レネー・エイプリル

編集 ジョー・ウォーカー

音楽 ヨハン・ヨハンソン

音楽監修

ジョナサン・ワトキンス

キャスト

  • エミリー・ブラント ケイト・メイサー
  • ベニチオ・デル・トロ アレハンドロ
  • ジョシュ・ブローリン マット・グレイバー
  • ビクター・ガーバー デイブ・ジェニングス
  • ジョン・バーンサル テッド
  • ダニエル・カルーヤ レジー・ウェイン
  • ジェフリー・ドノバン スティーブ・フォーシング

 

あらすじ
『プリズナーズ』『灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌー監督が、『イントゥ・ザ・ウッズ』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のエミリー・ブラントを主演に迎え、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実を、リアルに描いたクライムアクション。巨大化するメキシコの麻薬カルテルを殲滅するため、米国防総省の特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官ケイトは、謎のコロンビア人とともにアメリカとメキシコの国境付近を拠点とする麻薬組織撲滅の極秘作戦に参加する。しかし、仲間の動きさえも把握できない常軌を逸した作戦内容や、人の命が簡単に失われていく現場に直面し、ケイトの中で善と悪の境界が揺らいでいく。共演にベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン。

原題『Sicario』の意味は?

原題は「Sicario」。
スペイン語で暗殺者らしいです。
冒頭に説明されますね。

まあ確かにSicarioってタイトルで日本で公開しても絶対売れないのは分かりきっているので邦題を付けざるを得なかったのは分かりますね。

が、それがクソダサい。

ほんとにポスターデザインといい邦題といいクソだせーな、と毎回思うのですが今回は鑑賞後けっこういい邦題つけたもんだなあと思わされました。

まあ誰でも思いつくけどね

映画『ボーダーライン』のあらすじ

エミリー・ブラント演じるFBI捜査官ケイトがある誘拐事件を追ってたら、爆発に巻き込まれ同僚二人が吹っ飛ばされるんですね。
で相棒と共にうなだれていたら、ジョシュ・ブローリン演じる超足臭そうなマットが指揮する米国防総省の麻薬カルテル対策の特別部隊に参加して、誘拐事件の主犯と思われるメキシコ麻薬カルテルのボス捕まえようって誘われます。
参加を決意し、飛行機乗ろうとするとそこに同乗したのがベニチオ・デル・トロ演じる絶対ワケありな男アレハンドロ。
正義感に燃えて捜査しようと思っていたケイトでしたが、一癖も二癖もある超足臭そうなマットとアレハンドロ、そしてアメリカ-メキシコの国境付近の過酷な麻薬カルテルの現実に振り回され揺さぶられ辟易していくのでしたー。

て感じな話です。いいところはまだ飛ばして話してます。

映画『ボーダーライン』のキャスト

で監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ目当てだった本作ですが、なんと出演者に大好物のジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロの名前が!
絶対観るしかない!となったわけです。

ジョシュ・ブローリンはコーエン兄弟の大傑作『ノーカントリー』でブレイクしましたね。
またまたこちらも傑作『インヒアレント・ヴァイス』でも日本語話すへんてこな役を演じています。

ベニチオ・デル・トロといえば体の70%が油ギトギトそうなフェロモンで成り立ってそうな(褒めてます)ラテン系俳優です。
なんとこちらも『インヒアレント・ヴァイス』出てます。あんまでかい役ではないですが。
ベニチオ・デル・トロといえばスティーブン・ソダーバーグの『トラフィック』や『チェ』、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『21グラム』なんかが有名ですが僕の一押しの作品はトミー・リー・ジョーンズ共演、ウィリアム・フリードキン監督の『ハンテッド』です。
これは僕の中で近年の実践的欧米アクションの先駆者的作品だと思っておりまして、公開後わりとすぐDVDでみた高校生の私は衝撃と共に度肝を抜かれたのでした。
てことで機会があればこの作品についても書きたいと思います。

また話がそれましたがそんな感じでこっから感想!

こちらも併せてどうぞ!

 

映画『ボーダーライン』を観る

 

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『ボーダーライン』の感想(ここからネタバレあり

以下ネタバレありです。

 

うんこ度(このサイトではどれくらいつまらなかったかを10点満点で採点してます。10.0=クソ映画)

2/10 デル・トロの顔圧が強すぎてのけぞっちゃう映画

 

いやー全体的に地味!とにかく地味!故に最高である!

 

超硬派な骨太なつくりです。

期待したとおり謎の男ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロがやってくれます。

かっこいいよー

穴という穴からなんか出ちゃうよー

あんなん闇からでてきたらチビッちゃうよー、でもかっこいいよー

 

派手なアクションを期待した方は残念でしたーて感じですが、まあビジュアルからしてそんな人あまりいないかな。

ネタバレ解説

ストーリー的なネタバレをすると、超足臭そうなマットとアレハンドロがケイトを作戦に加えたのは、FBIとしてケイトが持つ権限を利用したかっただけなんです。
邪魔にさえならなければFBIだったら誰でも良い、だからケイトの相棒はうるさそうだから外されたんですね。
更にケイトはマット、アレハンドロにカルテルに通じた汚職警官をおびき出す囮にまで使われ、心身共にボロボロになります。

でアレハンドロとマットの真の目的はメキシコ麻薬カルテルのボス(こいつがケイトの追ってる誘拐事件の主犯)ではなくそいつを従えている行方がマジで分からないメキシコ麻薬王を闇に葬ること。
CIAであるマットはなんとメキシコ麻薬カルテルを潰し、昔のようにコロンビア麻薬カルテル(これがメデジン・カルテル)1党支配体制を復活させて秩序を維持しようとしていたのでした。
そしてアレハンドロの正体はコロンビアの元検察官で家族をメキシコ麻薬王に惨殺された復讐鬼であり、コロンビア麻薬カルテルに雇われた暗殺者、つまり彼こそ原題のSicarioだったのです。
だからお互いに利害が一致したマットとアレハンドロは社会的な善悪を超えて協力していたのでした。
全てはアレハンドロをトンネルの向こう側に潜入させるための作戦だったのです。

マットはコロンビア麻薬カルテルという悪であるはずの存在を利用して社会の秩序を保とうとするのです。
しかもそれはアメリカという国家の上層部が決めた作戦。国外での違法捜査の数々に加え、その事実にケイトは苦悩するのです。

アメリカの若者の麻薬使用は深刻な社会問題であり、その流通経路として大きいのがメキシコからの輸入なんですね。
そのメキシコというのは社会が不安定で麻薬カルテルが社会のシステムに組み込まれているようなものなんです。
もちろん本当は撲滅しなきゃいけないけど、いなくなったら国や国民の暮らしは破綻してしまう、要は必要悪なんです。
そして映画では過去にはメキシコ国内の麻薬を支配していたコロンビア麻薬カルテル(メデジン・カルテル)がアメリカ側が把握できる量の麻薬を流通させ、社会は絶妙なバランスを保っていた。
悪いことはもちろんあるけど、そんなひどくなかったって感じですかね。
しかしメキシコ麻薬カルテルが横槍を入れてきたせいで秩序は崩壊!!で今回マットがその秩序を取り戻すべく動いたという話なんですね。

アメリカ人ですら顔と名前が覚えられないことも多いのに、メキシコ人の名前の長さと同じような発音のせいで何が何だかよく分からなくなりますよね。

雰囲気、画作り最高

まず何が良かったかというと雰囲気、画作りですね。

冒頭から何回か出てくる窓から射すカーテン越しの光を捉えた何でも無いショット。
それだけで

あー気持ちがいい状態です。

これに無理やり意味づけもできるでしょうが、感覚的なものではないでしょうか。

それもそのはず撮影は名撮影監督ロジャー・ディーキンスなんですね!
大好きなコーエン兄弟監督作の撮影でも有名です。

これが監督の力なのか撮影監督の力なのかは微妙なところもあると思いますが(色彩などはポスプロの影響もある)とりあえず気持ちいい画を撮ってくれる方です。

『ノーカントリー』に通づるところですが、アメリカ-メキシコの国境付近の乾いた空気を捉えた素晴らしい引きの画が続出します。
もうその場にいるような感覚を覚えるショットだらけです。
特に夕方、夜明け、朝の空気感が素晴らしいんです。
ケイトが仲間の兵士に花火見るかと誘われ屋上に上がるところや、作戦決行直前の身支度をしている時の青い空。
映画の空気と相まってヒリヒリする感じもありますが、旅行している感覚すら覚えるのです。

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また全体的に登場人物に近づきすぎない一歩引いた落ち着いた画作りなのですが、なにか悪いことが起きそうだぞという雰囲気が画面を常に覆っています。

具体的に良かったのは、マットが移送されてきたカルテルの幹部を尋問しようと部屋のドアを開いた瞬間。
手前に扉を開くマット、その奥、画面中心に小さく水を与えられているカルテルの幹部が見えるんです。
ドアを開いた瞬間起きていたって感覚がミソです。

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うわーこれからこいつに絶対おぞましいことが起きるわー

 

て直感的に分かる素晴らしいショットでしたね。
そう思ってたら案の定、アレハンドロが水タンクを持って現れ水拷問プレイを始めるんです。
まあここだけは具体的何やったかはわからないんですが、ゴボゴボと苦しむ音と排水口が映ります。
「サイコ」みたいですね。

 

あとは冒頭からちょこちょこ映る、生活のために麻薬カルテルにどっぷり浸かった警官が麻薬をパトカーに積んで走り出す斜めの構図のショット。

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うわー、警官死にそー、死相が出てるわ、パトカーに!子供いるのにー

ていう美しくもおぞましいショットでしたー。

ラテン系幽霊

やっぱりこの映画最大の魅力はアレハンドロのSicarioっぷりでしょう。

最初はがっしり体型の不気味なフェロモン男だったのに、どんどんその闇の部分が明かされていき、終盤トンネル抜けてからの潔い仕事っぷりだけでも観てよかったと思えます。
前半は静かな展開でしたし、ラストも特殊部隊の突入みたいな多数対多数の短めの地味なアクションだと思っていたので、まさかあんな闇の潜入凄腕必殺仕事人みたいになるとは思っていなく

元検事なのにおまえそんなやつだったんかい!

とかなり驚きました。
というか驚いたのはその時は原題Sicarioを意識していなかったのでまさかサブのベニチオ・デル・トロが真の主役とは思っていなかったからなのかもしれません。

汚職警官の運転するパトカーの後部座席で闇に紛れる姿なんかもかっこよかったですねー、顔面圧力が尋常じゃないです。日本人の19倍はあります。
心が耐えられません、窒息しそうです。

先に書いた水拷問の前に旧知のおじさんからゴーストって呼ばれてましたが、ケイトが首絞められているところを助ける時の

ぐぐぐぬ〜〜〜

て現れ方ほんと良かったですねー、正に幽霊です。

頭のデカさ

ジョシュ・ブローリンのだらしなそうな、足臭そうな、小銭をポケットにジャラジャラいれてそうな感じは絶妙でしたね。
いい加減な感じをだしつつ、その裏には凄まじい覚悟がある、そんな人間を体現してました。
それもそのはずです、CIAでありながら悪で悪を制し、秩序を保とうとするんです。
これまでの人生で凄まじい経験を経て、何かを失い、何かを捨てなければそんな作戦を指揮できるとは思えませんからね。
そんな感じが特別何かをしているわけじゃないのに分かるんです。

それにしてもその他の作品を見てても思ったことなかったんですが今作のジョシュ・ブローリン

 

頭でけえ!!!

 

そう思いませんでした?
やけに頭でかい。
なんかバランス悪いんですよ。
頭重くて転ぶんじゃないかと心配になります。

髪型のせいかなあ…

だからなんだって言われたらなにもないんですが…

ちゃんと逃げずに見せてくれてありがとう

この映画は暴力やグロ描写を臆さず、全部をちゃんと画として見せようと努めています(水拷問以外ね)、もうそれだけで映画としての覚悟、誠意を感じます。
もちろん現実はもっと酷いんでしょうが、ギリギリを攻めてますし、水拷問などは敢えて見せないことでこちらの想像力を刺激しています。
単純ですがうまい手法ですね。

また本作は

映画だから観客の気持ちを考えて、家族持ちや子供は犠牲にしないでおこう

なんてうんこちゃん思考は一切ございません!

しっかり全員ベニチオ・デル・トロが処分してしまいます。

あれだけ愛すべき家族がいることを序盤から強調して描かれていた汚職警官を

おまえはいいやつだ

みたいなこと言っておきながらあっさり撃つ

 

ラスト、一家団欒をしていた麻薬王の妻、二人の息子。

麻薬王の家族といっても至って普通の弱々しい人間として描いています。

普通なら家族は殺さないみたなうんこちゃん展開にしてもおかしくないですが、もちろんアレハンドロは

 

あっさりピュンッ

 

しかも家族から。
ちゃんと麻薬王に見せつけます、一番陰鬱な展開。

これにより現実の厳しさが思い起こされます。現実はもっと残酷なんでしょうけど。

ケイトの役割

この映画はエミリー・ブラント演じるケイトが主人公に据えられています。

よくこの映画の感想でケイトいらなくね?みたいなのを見ますが、

 

いるに決まってるだろ!アホンダラ!

 

この映画はマット、アレハンドロという私達が通常考える正義、善を超えた価値観で異様な世界を生きている人間を描いています。
ケイトという私達と同じ側の世界の人間の目を通して語ることによって、その異様性を強調しているのです。

うすた京介さんの漫画「セクシーコマンドー外伝 すごいよマサルさん」は花中島マサルという人間の異常さを強調するためにそのすぐ横に藤山 起目粒という平々凡々なキャラを配置しているのです。
魚の大きさをわかりやすくするために横にタバコを置くなんてのも同じですかね。

 

相棒は何かとケイトに「俺はおまえを女として見てない」みたいな感じだすんですけど

嘘つけ!

絶対好きです、このムッツリ野郎。まあケイトが全くふりむいてくれないんでしょうね。

もてない男の強がり

…分かります。

ケイトとアレハンドロのボーダーライン -邦題の意味-

全てを見て知ったケイトはこの超違法捜査、行為を世間にぶちまけると決めました。

がそこにアレハンドロが現れ、正規の手続きを踏んだ捜査だったとサインしろと銃で脅され、結局屈服することになります。

そして立ち去るアレハンドロをケイトは撃とうとしますが、結局出来ませんでした。

この時ケイトの方に振り返ったベニチオ・デル・トロのショットは最高でした。

不穏な空の色を背景にした煽りのアングル。

銃を向けられてもすこしも怯えることも反撃しようともせず、ただただ毅然とケイトを見つめる。

ここでアレハンドロはケイトに おまえのいる世界と俺がいる世界は根本的に違うのだ、おまえはこちらに来るなと諭しているように見えるのです。

アパートの二階ベランダ部分と地上という高さを使った人物配置により確かにそこに世界のボーダーラインが見えるのです。

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これは崩壊してしまったアレハンドロの精神のなかの唯一残っていた優しさにも感じられます、もはや善悪などない人類にもほんの少し希望が残ってると言っているようです。
あくまで僕の感想ですが。

おわりに -映画のラストを解説-

本作では容赦のない暴力の連鎖が描かれています。
その暴力の果てにアレハンドロとマットは目標通り麻薬王を闇に葬ります。

通常の映画であればラスボスを倒したわけですから、観客に達成感、高揚感を感じさせるように作られます。

しかし本作で残るのは全く違う感情である虚しさ、やるせなさ、無力感でしょう。通常であれば…

というのも先述の通り、臆することなく子供であろうと容赦なく始末するというこの映画の心意気に

 

ヒューヒュー!!ブラボー!!!でーるとろっでーるとろっ!!!!

 

とサイテーな気持ちになっていたのでした。

 

自分の信じていた正義を貫こうとするも、法の秩序など存在しない世界の存在を知り、それに屈服するしかなかったケイト。
これからも国家という大義のため超法規的な作戦を実行していくであろうマット。
そしてこれからも法の秩序など存在しない暴力渦巻く世界で生きていくであろうアレハンドロ。

三者の生き方を通して、実際、現実世界の一部もこういった超法規的な暴力によって秩序が保たれているんだろうなあと感じました。
本当に善悪の境界など曖昧で誰が正しいなんて言い切れません。
明確な勝者など存在していないですからね。
一つ上げるとすればアメリカという国の上層部ですかねえ。
やはりとてつもない闇を感じますよねー。

 

ラストシーン、アレハンドロに始末された汚職警官の息子がサッカーをしています。
すると突然轟く銃声。
一時みな足を止め、サッカーを中断しますが、少しすると何事もなかったかのようにまたサッカーを再開し、そのまま静かに映画は終わります。

自分たちのすぐ隣に存在している暴力を当たり前のように感じている一般市民を捉えた恐ろしいシーンです。

この少年もいつか父親の死の真相を知り、暴力の連鎖というサイクルに組み込まれてしまうのではないかと懸念を抱かせます。

どよーん

としたラストでしたが、数々の最高の描写の連続に満足感を得ていた僕は

 

にこにこー

としてエンドロールを迎えたのでしたー

 

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